ASEANで2位に 銀行業界展望、総合力で モルガン・スタンレー調査

 米金融大手モルガン・スタンレーは2015年東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国の銀行業界の展望を公表した。インドネシアは今年の融資額の成長見通しで、フィリピンに次いで2位となった。13年のような高成長は望めないが、前年の貸し出し金の伸び率より上昇が見込まれ、他国に比べ有望視された。

 モルガン・スタンレーはインドネシアの今年の貸し出し金伸び率を15・4%と予想。14年の14・1%よりやや上昇するとみているが、5年前に比べ企業が新たに資金調達を行なう余力がないと指摘。「13年に記録した貸し出し金伸び率21%に及ばないが、フィリピンの次に成長率が高いだろう」と分析した。
 モルガン・スタンレーはインドネシアが資産力で最も評価が高く、「他国に比べ潤沢な資産を持っている」と分析した。一方で、資産は潤沢だが、銀行が企業へ融資する資金の流動性がASEAN内でも低水準で、貸し出し金の伸び率の鈍化につながると指摘した。米国の政策金利引き上げ予想で、中銀がルピア防衛のため、積極的な金利引き上げ策に転じれば、企業への貸し出しが鈍化する懸念があると指摘した。
 マンディリ銀行広報は地元メディアにモルガン・スタンレーの調査を「明確な指標に基づいて算出されている」と語った。マンディリ銀やタブンガン・ヌガラ銀行、ヌガラ・インドネシア銀行など国営銀行についても、貸し出し金伸び率は16%成長を予想している。
 同調査はマクロ経済成長や各銀行の資産力、資金の流動性などのデータのほか、政治要因なども調査対象とした。フィリピンが融資額の成長見通しで首位、インドネシアが2位、シンガポールが3位だった。ASEAN全体では、10〜13年時のような急成長は望めず、昨年と同様の緩やかな成長率と予想した。流動性の不足と、米ドル高の懸念が共通課題と指摘した。
 同調査で首位のフィリピンは十分な資金流動性と経済成長率が評価された。中でも、フィリピンのメトロバンクが今後2年間、高成長を遂げると予想。民間銀行間の格差が広がることを懸念材料とした。
 インドネシアの2位は僅差。モルガン・スタンレーはマクロ経済見通しで「唯一、中長期的に成長する可能性がある。貸し出し金は14〜16年まで15%成長を続ける下地があるが、中銀の金利政策に左右される」と付け加えた。(佐藤拓也)

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