乱気流に突っ込む 全電源喪失の可能性も
交信が途絶える直前、エアアジア機は進路変更と上昇で積乱雲を避けようとしたが、要請した高度は複数の旅客機の航路と重なり、認められなかった。同機は許可された左への進路変更のみの回避策を取ったが避けきれず、積乱雲の乱気流に突っ込んだとみられている。乱気流の中で機体に何があったのか。
運輸省航空総局に派遣されている国際協力機構(JICA)の安田弘専門家は、複数ある電源が一度に機能を失った可能性を指摘している。安田氏によると、墜落原因には(1)速度計に着氷し、正確な速度が計れなくなり失速した(2)落雷による全電源の喪失―が考えられるという。
ただ、(1)の場合は失速しても十分な高度があり、墜落までに時間がある。同機は非常信号の発信もなく消えたが、説明がつかない。旅客機には通常の航空無線とは別に、ボタン一つで緊急事態を知らせる装置が搭載されており、安田氏は「機長が機体のコントロールに集中していても、副操縦士による発信は可能」とみる。
そこで濃厚になるのが(2)の落雷だ。バックアップを含め全ての電源が使えなくなり、非常信号も使えないまま墜落したとの見方だ。全電源を失ったとすれば、異例の事態。安田氏は「ブラックボックスを回収後、詳しい事故原因の解明が必要だ」と話している。
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