日商と経団連 大型使節団 2月と4月、両トップ来イ 日イ間の関係強化
日本の経済界を代表する日本商工会議所(日商)と日本経済団体連合会(経団連)が今春、相次いでインドネシアに大型経済使節団を派遣する。一つの国に相次ぐ派遣は異例。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領やインドネシア商工会議所(カディン)など政界、経済界首脳と会談、西ジャワ州のチラマヤ新港建設や電源開発などインフラ整備事業や、海洋政策や電子政府構想への協力を通じ両国の経済協力関係強化を目指している。
日商使節団のインドネシア訪問は2002年以来13年ぶり。団長は三村明夫会頭(新日鉄住友相談役、名誉会長)で、一行は日本商工会議所と東京商工会議所のメンバーで構成する。副会頭はじめ各地商工会議所の会頭クラスら60人近くが参加し、同行する実務者も合わせ総勢90人近い規模になる見込み。
インドネシアの訪問日程は2月1日から4日の予定。大統領のほか経済関係閣僚、カディン(スルヨ・バンバン・スリスト会頭)、インドネシア経営者協会(アピンド、ハリヤディ・スカムダニ会長)の有力経済人らと、今後の両国の経済協力強化に向け会談する方向で調整している。
一方、経団連は4月7日から10日の予定でインドネシアを訪問する。団長は榊原定征会長(東レ会長)で関係副会長、日本・インドネシア経済委員会の大八木成男委員長(帝人会長)らがこぞって参加する本格的な使節団となる。
経団連は2012年、13年と日本インドネシア経済合同フォーラムをバリ島、東京で開催するなど日イ経済協力の日本側窓口として機能してきた。しかし、日商が2月に使節団を派遣することもあり、経団連としてもインドネシアとの経済関係強化に向けて強い意欲を示す狙いもあり、大型使節団をジャカルタに送ることにした。
両団体がそろって派遣する背景に、インドネシアに対する認識の変化がある。「多民族・多宗教の複雑な発展途上大国」は、国民の所得水準の高まりで「2億5千万人の巨大な消費市場」へと変化。これに注目した日系進出企業は、製造業など重厚長大型から消費・サービス産業へと業種の裾野が拡大しつつあり、経済団体としてより幅広い関係を築く必要に迫られている。
ただ、ジョコウィ新政権は日本との経済協力に関しユドヨノ前政権とややニュアンスの違う姿勢も見せている。例えば周辺の渋滞の著しい北ジャカルのタンジュンプリオク港の代替港として、日本官民が提案するチラマヤ新港(西ジャワ州)の建設構想。
日本側はインドネシア政府の輸出拡大策にも沿った構想として、ODA(政府開発援助)資金の活用を提案したのに対し、「受益者である民間企業が費用を負担すべき」、「日本の援助はジャワ島以外でお願いしたい」などの考えを示し、噛み合っていない。
経団連の使節団派遣でこうした行き詰まりを打開出来るか、両国経済関係の今後を占う意味でも成果が注目される。(小牧利寿、斉藤麻侑子)