植林地の大半を焼失 住友林業 「事業継続する」 東ジャワ州のブロモ国立公園で
住友林業はこのほど、カーボン・オフセットのための植林に取り組んでいる東ジャワ州のブロモ・テングル・スメル国立公園で、大規模な森林火災があり、同社の植林地も大半を焼失したと発表した。防火策が実らず痛手を受けたが、事業を継続し、焼失分も再び植林するという。
同国立公園では10月22日と先月2〜3日に原因不明の森林火災があり、同社の植林地にも延焼した。10月の火災では、2013〜14年に植林した約78ヘクタールのうち48ヘクタールを焼失。先月にも同様の火災があり、09〜13年に植林した約302ヘクタールの大半が焼けた。同社は、火災を生き抜き再び新芽を出す木が残っている可能性があるとして、雨期の成長を待って被害状況を判断する。
地域では数年おきに森林火災が発生しているといい、同社も防火体制の整備に努めてきた。隣接区域からの延焼を防ぐため、幅6メートル総延長12キロの防火帯を整備したほか、公園管理局や国際協力機構(JICA)と連携して住民の消火訓練を実施。しかし、今年は乾期の降水が極端に少なかったことに加え、火災発生当時に強風が吹きつけたため被害が拡大したという。
同社は09年、住宅の施工などで排出した二酸化炭素(CO2)を、植林した木に吸収させることで相殺するカーボン・オフセットと呼ばれる取り組みを開始。CO2の年間排出量を約6万トンと見積もり、今年3月までに国内で1464ヘクタールに約140万本を植えた。同国立公園の植林地はこのうち約20%を占める。
5月には3年間の事業延長を発表しており、今回の焼失分についても植林し直す予定だという。
事業延長により、16年3月まで植林する計画だが、植林後10年間は木々の成長を見守る必要があり、植林地管理を含めた事業は26年3月まで続く。その後、樹木を伐採し建築資材として活用、発生した利益を周辺住民に還元するとともに次の植林事業の資金に充てる予定だ。(田村隼哉)