カドカワが漫画学校開設 クリエイターを養成 来年9月ジャカルタに
出版大手のKADOKAWA(本社東京都千代田区)の完全子会社でアジア各国でエンターテインメント・コンテンツ・スクール事業を展開するKADOKAWA Contents Academy(KCA、東京都)の古賀鉄也社長兼CEOはじゃかるた新聞の取材に対し、2015年9月にジャカルタで漫画、キャラクターデザイン、カードゲームイラストレーターを養成する学校を開校する予定であることを明らかにした。日本の大手出版社がインドネシアで漫画学校を展開する初のケースとなる。
古賀KCA社長によると開校はインドネシアの新学期に合わせた2015年9月で、初年度の生徒数は約125人を予定している。漫画、キャラクターデザイン、カードゲームデザイナーの3コースを設定する予定。授業は日本人、インドネシア人の両方を講師とし、ソフトウェアの操作などはインドネシア人が、作品にどうやって魅力を盛り込むかなどの方法論は日本人が行う。日本人講師は原則として現役のクリエイターが務める。学校施設は教育機関を持つ地場企業と提携する予定だが、将来的には直営校として独自展開する意向だ。
同校はエンターテインメント・コンテンツのクリエイターを養成し現地産業の担い手を生み出すことを目的とするが、優秀な人材が日本デビューを希望した際にはそのサポートも行う。インドネシアでの開校について古賀社長は「他国と比べて若い人のコンテンツに対するアイデアが豊富で質が高い。また日本のアニメや漫画の流行に対するキャッチアップ(追いつき)がとても早く、自分でも作ってみたいという潜在的な層は多い」とし、「学生にはインドネシアの文化と融合したオリジナルのコンテンツを生み出してもらいたい」と期待を込めている。
同社は日本のコンテンツを愛するアジア各国に向けて、日本のコンテンツ制作の教育プログラムをその国に合わせて展開することを目的に昨年10月設立された。これまで9月に台湾で漫画学校を開校、11月にはシンガポールでシンガポールポリテクニックでのアニメイラスト講座開設に向けた正式調印を行う。15年秋には香港、タイでも学校を設立予定。他にも16年までに中国、べトナム、マレーシア、フィリピン、インドを含めて合計10の国と地域で事業展開する。またアジア圏以外のアメリカ、フランス、フィンランド、パラグアイなどからも開校の依頼が寄せられている。
「日本の漫画は各国で娯楽として高い評価を受けている。またキャラクターを2、3次利用してビジネスを広げやすい。加えてサービス精神が豊富な日本の教育プログラムは真似できない」と古賀社長は話す。KADOKAWAは10月、動画投稿サイト、ニコニコ動画を運営するDWANGOと経営統合した。「今後ネットインフラを使用した授業などにも取り組んでいく」としている。(阿部敬一、写真も)