土地売却価格に不満 南ジャカルタ

 南ジャカルタ区のシャムスディン・ヌール区長は6日、大量高速鉄道(MRT)建設事業について、同区のファトマワティ通りやルバックブルス・バスターミナル周辺の土地収用90%が完了したことを公表した。現在は引き続き住民に対し土地の売却を求め、買い取った土地にある民家の取り壊しが進んでいる。同ターミナルやその周辺のルバックブルス競技場などがMRT車両のターミナルになる予定だ。
 「土地問題はまだ解決していない」。チプタット・ラヤ通り脇にあるハジ・マムット町。11日午後、家屋の基礎とがれきが残る町の風景を眺め住民のアルマンさん(50)がつぶやいた。アルマンさんによると、90歳の実母の家が同町にある。300平方メートルの一軒家。うち、20平方メートルが土地収用の対象になっている。同区から提示されている売却値段は、通りに面した家が1平方メートルあたり400万ルピアで、それより奥のアルマンさんの実母の家は1平方メートルあたり100万ルピア。「売却値段が小額すぎる」とアルマンさんは区に対し、売却値段を上げるよう求めているが、区からの明確な値段提示はない。
 チプタット・ラヤ通りやルバックブルス・ラヤ通りなど各地の通りでMRT建設に伴い、道路を約2メートル以上拡張している。靴などを販売する店の従業員シャムスルさん(54)によると、道路拡張で店の一部を取り壊したという。「よく通っていたルバックブルス・ラヤ通りのパダン料理店は土地を売り、西ジャワ州ボゴールに移り住んだ。仲間が減ってさみしい」と話した。(山本康行、写真も)

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