初回研修、イからスタート 6カ国参加の防災教育HANDs 国際交流基金
国際交流基金が主催し、アジア6カ国の青年らが防災教育に携わる人たちと各国で交流するHANDs(ハンズ)プログラムの第1回研修がインドネシアでスタートした。25日に参加者25人がジャカルタに到着し、防災をテーマにした映画を撮影中の著名監督と意見を交えたり、噴火災害に遭った山ろく村落での防災教育現場を視察したりした。研修は10月1日にはフィリピンに場所を移し、5日まで行われる。
HANDsには日本、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、インドから大学生や非政府組織(NGO)職員などが参加。国境を越えて協力し合い防災活動に貢献できる人材を育てるのが狙い。
27日には、2008年の大ヒット作「ラスカル・プランギ」で知られ、インドネシアを代表する映画監督リリ・リザ氏と交流。防災の大切さをテーマにした新作「Desember」の撮影現場を見学した。
新作は、ジャカルタに住む少女がさまざまな書籍などを通して自身の防災意識を高め、周辺の大人や子どもに防災の必要性を訴えていく物語。オーストラリア赤十字が主要スポンサーになり、12月にはインドネシアのテレビ局で放送が予定されている。
見学後は、リリ監督とのディスカッションの時間が持たれ、参加者は映画などの芸術による社会への影響について意見交換した。
リリ監督は「インドネシアでは教育機会の格差が大きく、人によって防災意識の高さが異なる」と指摘。映画は人々の意識向上に寄与でき、芸術は社会にいい影響を与えることが使命だと力を込めた。
参加者の西城国琳さん(22)は「大学での勉強以外に、防災教育現場を見ることはあまりない。この機会を最大限に利用して、得た知識と人脈を将来に生かしたい」と話した。
28、29両日はジョクジャカルタ特別州を訪れ、ムラピ山噴火で火山灰が積もった村落民家の様子などを伝える資料館など見学した。
10月1日にフィリピンに移動し、マニラや13年の台風で深刻な被害を受けたレイテ島タクロバンなどで、ワークショップや防災教育の現場を視察する。(藤本迅、写真も)