三菱自、新工場建設へ ブカシで小型MPV 年産能力3倍の24万台に
三菱自動車は西ジャワ州ブカシ県のGIIC工業団地に3億5千万ドル(約370億円)を投じて小型MPV(多目的車)を製造する。同社の益子修・会長兼CEO(最高経営責任者)が16日、来イし発表した。新工場建設で国内生産能力は3倍の年24万台になる。益子会長は「インドネシアをタイに次ぐ世界第2の生産拠点にする」と位置付けた。
新工場は2017年上半期に稼働予定。日本で開発中の「コルト」を生産する。生産能力は年16万台。まず年産8万台とし、必要に応じて増やす。
8万台のうち6万台は国内向けで、2万台はタイとベトナム、フィリピンに輸出する。益子会長は新工場への投資を「三菱自動車の持続的成長を実現のための鍵を握る最重要プロジェクト」と位置づけた。また「質の高い豊富な労働力があり、輸出拠点としても活用していきたい」と述べ、将来的に輸出先を拡大する意向を示した。
「コルト」の開発などには2億5千万ドル(270億円)を投じる。工場設立にともない製造会社の設立も検討している。
投資理由について益子会長は「インドネシアの既存工場は手狭になったため」と説明。「インドネシアより人口が少ないブラジルは全体で年340万台以上の市場規模があるが、インドネシアでの昨年の販売台数110万台はあまりに少ない」と今後の市場拡大に期待した。
「コルト」で参入する小型MPV市場は、トヨタのアバンザ、ダイハツのセニア、スズキのエルティガなどがしのぎを削る国内の最大分野。
三菱自動車の昨年の国内販売台数は9万2千台でシェアは8%だった。同社の海外販売台数では一番多かった。「コルト」投入でシェアを13%まで高めたい考えだ。
同社はタイでは年間50万台生産している。フィリピンもインドネシアと同等の生産拠点と位置付け、事業規模を拡大していくという。
益子会長は同日、ヒダヤット工業相とルトフィ商業相に工場建設を伝えた。(堀之内健史)