残留日本兵の慰霊碑建て替え 工藤さんの親族ら バリ島で入魂の儀式
第二次世界大戦終結後、インドネシアの再植民地化を試みたオランダを相手にバリ人とともに戦い命を落としたバリ島残留日本兵の工藤栄さん(当時34歳)の慰霊碑が、今年になって慰霊碑の在りかを知った工藤さんの親族によって建て替えられ、その入魂式がバリ島のタンジュンブノアで執り行われた。
工藤さんはバリのマルガ英雄墓地に祀られた12人の元日本兵の1人。1946年、タンジュンブノアで亡くなり、10年後の56年に地元の村長らによって慰霊碑が建てられた。以来、現在に至るまでの60年近く、慰霊碑は地元住民が護ってきた。
今回の建て替えと入魂式を行うにあたり、工藤さんの親族と現地住民の仲介をしたのは、退職後バリに移り住んで以来、残留日本兵の軌跡を調査している吉井洋司さんだ。吉井さんは親族の依頼を受けて慰霊碑の場所を探し出し、報告を受けた親族が朽ちかけていた慰霊碑を新しくすることにした。
入魂式では地元の人たちのほか、吉井さんの呼びかけで在デンパサール総領事館関係者や日本人会メンバーなど20人が出席。真っ青な海を背にした新しい慰霊碑前でバリ・ヒンドゥーにのっとった儀式が厳かに行われた。
バリの正装姿で入魂式に参列した吉井さんは「地元の人はもとより日本人の参加も多くうれしかった。この地に尽くした先人たちに改めて尊崇の念を抱くと同時に、バリの人たちが彼らのことを忘れず、英雄として大切にしていることをとてもありがたく思う」と話した。 (北井香織、写真も)