プアサとレバラン 知っておきたいこと
プアサ(断食)が始まって10日が経ちました。ムスリムの人たちにとってはコーランの教えを学び、食べ物に感謝し、自己を修練する重要な宗教行為です。また28日と予測されているレバラン(断食月明け大祭)は日本の正月とお盆を足したような休みとなります。インドネシアで暮らす日本人として知っておきたいポイントをJCC(ジャカルタ・コミュニケーション・クラブ)の渡辺彰吾さんに聞きました。
■断食を理解し、気遣いを
日本人が知っておきたいことは、「断食中の人たちは体力が落ちているので、きつい仕事は避けてあげることが大切です」。午後から眠たくなってくることを理解しておくことも大切。午後6時ごろのお祈りの時間に運転手さんを使う場合は、6時になったら運転中でも車を一度路肩に停めて、ラジオを点けてアザーン(お祈りの呼びかけ)を聞いてもらい、少しでも休憩してもらう配慮をもつ。
また「断食中は怒ったり、感情を荒げることだけ控えたい。自分の感情も抑えてください。他人が怒っている姿や大きな声を出している姿も見たくないのです」と渡辺さん。特に女性に注意してほしい点は、露出の高い服を着ないことだ。ノースリーブの服や短いスカートなど肌の露出は控えたい。
■ボーナス、土産の準備を
レバランは1カ月続いた断食明けを祝うもの。その前日の夜にはモスクに集まり、特別なお祈りをする。家族、親戚が集まって会食や墓参りをする。レバラン休みは暦上は2日間だが政府からの要請もあり、その前後を含めた1週間が会社員や個人的な使用人も休暇となる。帰省する人が多く、故郷が遠い場合は最長2週間ほどの休暇となるケースも。
その際運転手さんやお手伝いさんに対し、レバランボーナス(THR)を渡す。日本の夏季、年末ボーナスと同じ意味合いで、最低給与月額の1カ月分で、勤務期間が1年未満の場合は月給÷12×勤務月数に準じる。「ボーナスはレバランに入る2週間位前には渡したい」と渡辺さん。ただし会社側から派遣されている場合は必要ないので、ボーナスが支払われるのか確認しておきたい。加えて帰省の交通費(全額でなくても大丈夫)やお土産代なども渡すと良い。「足しにして下さいという気持ちです」。働きぶりが良い方には特別にプレセントを渡すことも多い。
「ご家族皆さんで」とお菓子などを渡すといい。現在各食料品店でギフトコーナーが出来ている。人気は小分けしやすいクッキーやチョコレート、値段は5万〜10万ルピアくらいで大丈夫。帰省時には新しい服を着るという習慣から「サイズが分かれば服やサンダル、金製のアクセサリーは女性から喜ばれます」と渡辺さんは教えてくれた。
ボーナスを渡す時には、帰省からいつ戻るか確認することを忘れないように。トラブルを防ぐために「もしその日帰れなければ必ず連絡する」「無断で帰って来ない場合は契約を打ち切り、別の人を雇う」という旨をはっきり伝えることが大切だ。(阿部敬一、月岡亜里沙、西村百合恵、写真も)
■レバランのお土産にどうぞ
いまモール内のショップから街のスーパーまで、レバラン用のパルセル(贈り物)コーナーが作られています。日本のお中元のような感じですが、パッケージされた中身は多種多用で趣向を凝らしたものばかり。人気の商品を探してみました。