あすラマダン入り 宗教省が発表 ムハマディアはきょうから
宗教省は27日夕、全国で実施した月の観測結果をイスラム団体関係者らと協議し、29日からイスラム暦(ヒジュラ暦)1435年のラマダン(断食月)に入ると発表した。全国のムスリムが1カ月間のプアサ(断食)を開始する。独自の観測方法を採用する国内第2のイスラム団体ムハマディアは28日から断食を開始する。
28日から断食を開始するムハマディア信者は27日、ラマダン入り前夜の礼拝「タラウェ」に臨んだ。中央ジャカルタのムハマディア系学校に併設された礼拝所を訪れたフェルマンさん(24)は「今年は例年より暑くなりそうでプアサも大変そうだが、精神面でも頑張りたい」と意気込みを語った。プアサには飲食を断つだけでなく、感情を抑え、行動を慎んで精神を清浄に保つ努力も求められるという。
ラマダン中、ムスリムは日出前から日没まで飲食を断つ。サフール(早朝の食事)で断食に備え、家族や友人とブカ・プアサ(日没後の食事)をとって空腹と渇きを癒やす。断食していても、夜間に食いだめする影響で断食前より太る人もいる。
1年でムスリムの信仰心が最も高まる時期でもあり、ナイトクラブやカラオケなど遊興施設の営業が制限される。自治体の観光局や警察もラマダンに合わせて酒類販売の規制を強化している。イスラム擁護戦線(FPI)など強硬派団体の活動も活発化し、昨年もFPIが風紀の取り締まりと称して酒の販売店に集団で押し入り、商品を破壊する事件が起きた。
また例年、ラマダン前からレバラン(断食月明け大祭)にかけて食料需要が増加し、政府は輸入量を増やすなど価格安定化に追われる。(田村隼哉)
◇ラマダン
ヒジュラ暦の第9月で、預言者ムハンマドが初めて啓示を受けた月とされる。敬けんなムスリムはラマダンの1カ月間、日中の飲食や性交渉を断つ。病人や妊婦、月経中の女性、子ども、旅行者は対象外とされる。断食はムスリムの義務「五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)」の一つ。ヒジュラ暦は太陰暦のため、新月の位置を観測してラマダン入りを判断する。