気候変動で災害増加も 河川流域への影響調査 東ジャワとスマトラ島 JICA
東ジャワ州で最長のブランタス川(全長320キロ)とスマトラ島最長のムシ川(全長750キロ)を中心に、国際協力機構(JICA)は気候変動による流域住民の生活への影響を調べるプロジェクトを進めている。
プロジェクトの研究チームを率いる小池俊雄教授(東京大学・地域水資源学)の調査によると、温暖化の影響でインドネシア国内の年間降雨パターンが変化しており、特に赤道以南の地域では乾期の長期化・降水量の低下が懸念されるという。さらに雨期の短期化や集中豪雨など、気候変動に伴う災害が増加する可能性がある。
東ジャワ州スラバヤに流れ込むブランタス川は流域面積1万1800平方キロメートル。豊富な水量は豊かな土壌を作り、周辺地域は稲作を中心とした穀倉地帯として知られていた。しかし、クルド山などの噴火で土砂が河川に流れ込んだり、雨期には洪水、干ばつの被害が増加したりして対策を講じる必要がある。
インドネシア政府の要請を受け、日本政府は1958年からブランタス川流域の水資源管理計画を支援している。当時、ブランタス川の整備に携わったのが大手総合建設コンサルタント日本工営で、排水トンネル工事や開発計画の策定を担った。
今回のプロジェクトで水資源管理計画を進めるチームリーダーは日本工営の川村浩二さん。川村さんは、気候変動の研究と水資源管理計画を一つのプロジェクトとして実践することの重要性を強調する。「予測が難しい雨や水質の変化は、人間の生活に大きく影響する。データをもとに管理計画を作ることは将来のために大切だ」という。貧困層や災害弱者への被害が出ないよう、国内の技術者らと管理開発に取り組んでいる。(西村百合恵、写真も)