政党助成金に異論噴出 NGO「総選挙前の駆け込み補充」 立会人費用?説明責任は?
政府が進める総選挙前の「政党助成金」に異論反論が噴出している。情報開示制度が整理されないまま配布は危うい。政党による選挙前の「駆け込み資金補充」という指摘も出ている。
政府は総選挙前に12政党に対し「政党助成金」6600億ルピアを渡す方向で調整している。これは「立会人予算」と呼ばれ、総選挙法が定める「政党が全投票所に立会人を置く」ための費用を負担する名目だ。4月の総選挙では12政党がそれぞれ投票所55万カ所に立会人を1人ずつ置くことになる。
東西5千キロの群島には目の届かない場所があり、地方首長選では毎回のように選挙違反疑惑が浮上するので、投開票が公正に行われるか確認するためだ。立会人への報酬は1人当たり10万ルピアと算定し、総選挙監視庁にも8千億ルピアを配布する方向だ。
ガマワン内務相は29日、「政党助成金の分配は大統領令の発布を待つ状態」と説明している。しかし資金の使途に関する報告義務などには触れていない。このため「立会人予算」が本当に立会人に使われるか分からない。
政党は関連団体を持つため、立会人の確保は難しくないという見方もある。総選挙委員会(KPU)は総選挙後に選挙資金を会計監査するが、資金の流れを補足できるかは疑問符が付く。
金融取引報告分析センター(PPATK)のムハンマド・ユスフ長官は27日、総選挙を前に不審な取引が20〜25%増えたと指摘。「普段ルピアで取引し、ドルを使うのが月に1回だった人が、毎週使うようになっている」。助成金配布の前に使途を透明化する情報開示システムを先につくる必要がありそうだ。
非政府組織「汚職監視団」のアブドゥラ・ダフラン氏は「この予算には説明責任が課せられていない」と批判。「フィトラ」のウチョック氏は「助成金は立会人に渡る前にこぼれる」と話した。批判する党もある。闘争民主党のチャフヨ幹事長は「政党は独立してなくてはならない」と主張。新党ナスデムのスルヤ党首は「ナスデムの立会人で10万ルピアもらった者は離党させる」と話した。
総選挙法は2012年改正時に総選挙の立候補者が政府から資金を得ることを禁じる一方で、11年改正時には前回の選挙で得た議席に応じた助成金を得ることを認める。同じ法律の中に二重基準が存在している。
国会政党9党は昨年、09年総選挙での得票率に応じた助成金計91億ルピアを得ているが、総選挙法の解釈としては問題が残る。(吉田拓史)