知事に批判の矛先 「15カ月ではなくせない」 ジョコウィ氏 首都の洪水被害が拡大
洪水を契機に政敵を追い落としたり、支持率を上げようとする発言や行動が出ている。4月の総選挙と7月の大統領選が近づき、政局に利用する動きは広がる可能性がある。
地元メディアによると、国民信託党(PAN)のアミン・ライス最高顧問は19日、ジャカルタ洪水被害の拡大について、「ジョコウィ知事は市民に謝罪するべきだ」と責任を追及した。アミン氏はジョコウィ氏の洪水対策は十分ではないと指摘した。
■洪水を政治利用
PANはハッタ党首が経済調整相の政権与党。アミン氏は昨年も「ジョコウィ氏は任期を全うすべき」として任期途中の大統領選出馬をけん制している。ジョコウィ氏は出馬の意向を示していないが、ジョコウィ氏と所属の闘争民主党(PDIP)の高い支持率を少しでも落としたい思惑があるとみられる。
15日には支持率の下降が続く最大与党・民主党のルフット・シトンプル氏が「選挙公約の洪水克服が守られていない」。ゴルカル党のアスラフ・アリ・ジャカルタ州議会議員も「知事がしっかり働いていればこんなに被害は広がっていない」と話した。
■協力体制こそ重要
批判に対し、ジョコウィ氏側は「知事就任から15カ月で被害をなくせるわけはない」と反論する。PDIPのエリコ・ソタルドゥガ副幹事長はチリウン川やプルイット、リアリオ貯水池の改修を進めている実績を強調。一方で洪水は周辺自治体や中央政府とも協力が必要で、州政府単独での取り組みは困難と強調した。
ジョコウィ氏も16日、河川管理の責任は中央政府にあると指摘し、協力体制の重要性を強調した。
■政党の支援、下心も
政党も災害支援で支持を伸ばそうという動きが出ている。ゴルカル党のバクリー党首は東ジャカルタの避難所を回り、物資の支援を表明。福祉正義党も19日、被害が大きい北・東ジャカルタにボランティアを派遣する方針を示した。
インドネシア科学院のシティ・ズフロ氏は「その土地に関わりのない政治家がきた場合、背後にある利益を批判しなければならない」と洪水被害の政治利用を警戒した。