野生動物の宝庫にリゾート バリ西部国立公園

 バリ島西部の広範囲を占めるバリ西部国立公園。希少動植物の保護を目的に1995年に正式に指定された区域だが、北西端の特別地区に限りホテルが建っている。その1つ「ザ・ムンジャンガン」を訪ねた。デンパサールから西へ西へとほぼ4時間、対岸に東ジャワの山々を望む高級リゾートに着いた。 
 インドネシア語でシカを意味するムンジャンガンの名前は、数キロ離れた沖に浮かぶ無人島ムンジャンガンにちなんだもの。この島を目指して海を渡る野生のシカの群れを見て地元の人たちが名付けたそうだ。
 リゾートには、森から海へ抜ける382ヘクタールの敷地の3カ所に宿泊施設がある。私が泊まった海辺のヴィラは受付のある建物から1.7キロ。屋根に椅子を取り付けた見晴らしの良い車に乗るか、マウンテンバイクを借りて行ってもいい。途中で赤茶色のキジャンと呼ばれるホエジカがすぐ前を横切り、バリの他の地域では見たことのない鳥が飛んでいた。
 ヴィラは波打ち際から数メートルの所に並んでいる。広々とした部屋に大きな窓。カーテンを開けると湖のような穏やかな内海が目の前に迫ってきた。時折、ダイバーたちを乗せた漁師のボートが前を通り過ぎて行く。
 ムンジャンガン島周辺はバリ有数のダイビングスポットだ。以前はダイナマイトや毒物を使った漁でサンゴが破壊されることがあったが、現在観光客を相手にすることでこのような漁がなくなりサンゴが復活しているそうだ。
 翌日、マングローブの林の一角にあるレストランで朝食をとっているとシカの家族がすぐそばを通り過ぎた。リゾートでは野生動物には水飲み場を用意するだけで餌付けはしていない。もともとは彼らの領土だった場所に人間が踏み込んでいるのだ。ビーチに目をやるとミズオオトカゲがマングローブの森に向かって這うのが見えた。
 食後のまだ涼しい時間にカヤックで海に出た。内海の一角にある温泉が湧き出ている場所からリゾート対岸の白砂のビーチまでこいだ。
 バードウォッチングも面白そうだ。周辺にはバリ固有の、他では滅多に見られなくなったカンムリシロムクなど120種余りの鳥が生息している。馬に乗って森を散策することもできる。この辺一帯は乾期は雨が非常に少ないため葉が枯れ落ちて冬のような景色になるが、雨期に入ると新芽が吹き出し豊かな緑に覆われる。ただ、動物の観察には見通しが効く乾期の方が適しているそうだ。(北井香織、写真も)

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