イの日本語学習者 世界2位上昇 高校の選択科目採用で急増 国際交流基金調査 87万人に
国際交流基金は8日、3年ごとに実施している海外の日本語学習者数の調査結果を発表し、2012年度のインドネシア国内の日本語学習者数が09年比21%増の87万2406人となり、世界3位から同2位に上昇した。親日国のインドネシアでは日本文化に対する高い関心があり、高校の選択科目への日本語採用で学習者数が増加しているが、日本語教師不足や新しい教材の開発など課題も多く、継続的な取り組みが求められる。
調査は2012年7月〜13年3月、各国の中学校や高校、日本語学校などを対象にアンケート方式で実施した。
日本語学習者の総数は09年比9.1%増の398万4538人と大幅な伸び率を記録。国別では中国が同年比26.5%増の104万6490人で2位から首位に上昇。次ぎにインドネシアで、3位は首位から転落した韓国で同12.8%減の84万187人になった。
韓国は12年まで10年間ほど、日本語学習者数で首位を固持してきたが、高校の外国語必修科目から日本語が外れ、中国語などの学習者が増えていることが背景にある。
インドネシアでは高校カリキュラムの改訂で、06年以降、高校全学年で文系理系などの専攻を問わず、選択科目の第2外国語として日本語、中国語、ドイツ語、アラビア語、フランス語から選択、3年間持続的に学習できるようになり、学習者数が激増した。
12年度は09年比約15万人増の83万5938人に上り、全体の96%は高校生が占める。大学など高等教育機関での学習者は2万2076人で、高度な日本語を習得する学習者の数は微増に留まっている。
地域別学習者数は西ジャワ州が22万5566人で最多。東ジャワ州の13万8431人、中部ジャワ州の8万416人が続く。日本語を教える教育機関は06年の1084、09年の1988から増加し、2346となった。
しかし、急増する学習者数に教師数が追いつかず、全国各地で人材不足が深刻化するなど問題も山積している。日本語能力が初級レベルの教師も多いほか、日本語を学んだことのない英語教師が教材を頼りに教えるケースもある。
国際交流基金ジャカルタ事務所によると、教育文化省や各地域の日本語教師会と連携して研修を開くなど教師の能力向上に注力しているが、十分な効果は上がっていない。学習者が継続的に日本語に興味を持てるような授業ができる人材育成が急務だと指摘している。
■中学高校で世界一
国際交流基金ジャカルタ日本文化センター・小川忠所長は、インドネシアの特徴として学習者の圧倒的多数が中等教育(中学・高校)に存在し、中等教育でインドネシアの日本語学習者数は世界1位となったと指摘する。
だが「躍進を喜んでばかりはいられない。急拡大に伴う課題が山積している」と強調。学習者の意欲を引き出す質の高い教師の不足、教材の不足、新しい教材・教授法開発の必要性、教育行政・学校関係者の理解促進などを挙げる。
「インドネシア政府が導入中の新カリキュラムの下、他外国語との競争が今後激化していくことも予想される。好機でもあり、危機でもある。抜本的対策を急ぐ必要がある」と指摘した。(小塩航大)