火災地点急増、78カ所に 今年もマレーシアに煙害 リアウ州
気象地理物理庁(BMKG)は15日、米海洋大気局(NOAA)の気象観測衛星がスマトラ島リアウ州内で78カ所の火災などの高温地点(ホットスポット)を観測したと発表した。マレーシアでは同島からの煙霧(ヘイズ)による大気汚染が報じられており、雨期に入るまで深刻化する恐れもある。
BMKGリアウ支部が国営アンタラ通信に明らかにしたところによると、島全体では110カ所のホットスポットが観測された。同島中心部に位置するリアウ州ではプララワン県(23カ所)、シアク県(12カ所)、インドラギリ・ヒリル県、クアンタン・シンギンギ県、ロカン・フル県(いずれも7カ所)など、全市・県で観測された。
14日の観測ではホットスポットは41カ所だったが、1日で大幅に増えた。同支部はリアウ州全体が乾期に入っており、干ばつが続いているため、山火事は当分続くとみている。
インドネシアでは、乾期に入ると企業・住民による焼き畑などが原因の山火事が頻発。特にリアウ州では可燃性の泥炭地が広がっており、鎮火しにくい。山火事は森林焼失に加え、煙による大気汚染が近隣住民の健康に悪影響を及ぼし、視界不良で航空機の運航に支障を及ぼすこともある。
煙霧は毎年乾期になると国境を越え、国際問題になる。マレーシアの地元紙によると16日午前、スマトラ島からの煙が原因とみられる大気汚染により、国内6カ所で「軽微な汚染」とされる大気汚染指数(API)101〜129を観測。首都クアラルンプールでは「軽微な汚染」に近い92を観測した。AFP通信によると1997〜98年に東南アジアで起きた大規模煙害で、観光業などに計90億ドル(当時レートで1兆120億円)の経済損失が出た。
インドネシア政府は焼き畑防止の広報活動や人工降雨による消火を検討するなど、対策を急いでいる。