マラッカ海峡で標識点検 航路の安全確保で活躍 日本が支援のジャダヤ号

 マラッカ・シンガポール海峡の安全確保のために日本財団が10年前にインドネシア政府に寄贈して以降、航路標識の点検を続けている設標船「ジャダヤ号」が10日、半年ごとに行う約3週間の定期点検作業を終え、母港のビンタン島タンジュンピナン(リアウ諸島州)に帰港した。同海峡は日本向け石油タンカーの8割が通る日本の生命線。ジャダヤ号は財団が建造費8億5千万円を全額助成し、2003年に運輸省海運総局に引き渡した。定期点検には協議会の佐々木生治業務課長らも毎回参加し、灯台を含め領海内に28ある標識を年2回ずつ点検している。
 対岸にシンガポールが見えるバタム島沖を除けば、視界を遮るものは少ないものの、海底には浅瀬や岩礁などの障害物がある。船が通行できる場所は限られており、約千キロの海峡は右側通行の航路帯が設定されている。標識は航路帯の位置や浅瀬を知らせる役割を果たしている。
 ジャダヤ号の乗組員はクレーンで引き上げた標識を船上で点検し、問題があれば修理する。標識は役割ごとに黄色や赤、黒などでぬり分けされ、浅瀬や通行位置などを示しているが、鳥の糞で全体が真っ白になってしまっているものがほとんど。汚れを落とした上でペンキを塗る作業が不可欠だ。
 通行船の衝突による破損や、発光に必要な太陽光パネルやバッテリーが盗難被害に遭うこともあるという。定期点検以外にも、衝突や潮流による標識の漂流や、故障の時にもジャダヤ号は対応にあたる。(道下健弘、写真も)

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