【じゃらんじゃらん特集】 「たばこ王」一族の軌跡 ハウス・オブ・サンプルナ スラバヤ旧市街の名所
オランダ植民地時代から港町として栄えた東ジャワ州スラバヤ北部の旧市街に博物館「ハウス・オブ・サンプルナ」がある。東ジャワを拠点に「たばこ王」として財を成したサンプルナ一族の軌跡をたどりながら、博物館内にあり、現在も稼働する紙巻きたばこの工場を見学。旧市街を巡るバスも運行しており、スラバヤ観光の拠点としてもにぎわっている。
博物館は2003年、創業90周年を記念し、旧工場を利用して開設。裏手にある工場では、約2千人の工員が人気銘柄「ジー・サム・スー(2・3・4)」のたばこを1本ずつ巻いていく様子を見学できる。1人で1日最低3千本、熟練者なら5千本という。
隣には、普段ジャカルタに住むサンプルナ一族が故郷のスラバヤを訪れた際に立ち寄る私邸がある。創立者リム・セン・テ氏は1898年、父と2人で中国・福建省からインドネシアに渡り、1913年に創業した。1階は創業当時の小売店の竹製レプリカや、競馬好きだった息子のトロフィーなどを陳列。2階では記念品を販売している。
リム氏は縁起をかつぐ中国商人らしく、幸運を呼ぶ数字とされる「9」を好んだ。「2・3・4」のブランド名は合計すると9になるたばこの調合比率にちなみ、社名もサンスクリット語で「完璧」を意味する9文字の「sampoerna(サンプルナ)」。現在のパッケージの星の数も九つ。工場内のステンドガラスには「たばこ業界の王になりたい」との思いから「王」の文字が多く見られる。(赤井俊文、写真も)