ヒーロー「ビマ」誕生 日イ合作の仮面ライダー 来月末から放映開始
インドネシアに新しいスーパーヒーロー「ビマ」が誕生する。民間テレビ局RCTIは6月30日から毎週日曜夜、日イ合作の子ども向けテレビ番組「ビマ・サトリア・ガルーダ」の放映を開始する。仮面ライダーシリーズを手掛けてきた石森プロ、インドネシア最大のメディアグループ「MNC(メディア・ヌサンタラ・チトラ)」が共同で制作する。玩具などの関連商品をバンダイが販売、伊藤忠商事インドネシアがライセンスを管理し、海外で総合的にコンテンツを開発する新しいビジネスモデルに取り組む。
ビマの発案者は、自身も仮面ライダーを見て育ったというMNC役員のレイノ・バラック氏。伊藤忠インドネシアの後藤雅行氏と2人で構想を練り上げ、伊藤忠が出資する石森プロと共同で新番組を制作する。
レイノ氏は6日、記者会見で「インドネシアをはじめ各国でアイアンマン、アベンジャーズ、バットマンなど米国コミックのスーパーヒーローが席巻する中、インドネシア発のヒーローを生みだそうと企画した」と説明。1990年代にインドネシアで人気を得た仮面ライダーブラックのようなインドネシア版特撮番組とし、「正義のために悪と戦い、家族や友人たちを守る。スーパーヒーローを通じ、消失して久しいインドネシアの英雄を復活させたい」と意気込みを語った。
RCTIのマネージング・ディレクター、カンティ・ミルディアティ氏は「日本の特撮ヒーロー番組のノウハウとインドネシアの文化を融合させたこの番組が、すべてのインドネシアの子どもたちや家族に愛されるだけでなく、インドネシアにおける新たなスーパーヒーローの象徴となってほしい」と期待を寄せる。
ビマは石森プロとMNCの制作会社がインドネシアで制作する。原作は平成仮面ライダーシリーズを手掛けてきた石森プロの早瀬マサト氏で、これに基づいてインドネシア側が脚本を執筆。ウルトラマン・シリーズを手掛けたスタッフも参加し、ジャカルタをはじめインドネシア国内各地で撮影する。
2011年から企画を練ってきた後藤氏は「台詞はインドネシア語、役者、舞台、ストーリー設定もインドネシア。双方で監督を立てて細部の表現までこだわった」と力を込める。
伊藤忠商事インドネシア支配人の本岡卓爾氏は「日本国内で映画の製作委員会に参加することはあったが、海外でコンテンツを制作するのは初めて。日本のコンテンツを持ってくるのではなく、一緒に作り上げる。ビジネスとしては利益が見えない部分もあるが、直接消費者に届くものにも取り組んでいきたい」と説明。「今後はカワイイ、格好いい、という部分だけでなく、幅広く日本の文化に注目してもらいたい。合作では日本とインドネシアで価値観が通じる。ここが面白い」と指摘した。
主人公はオートバイの修理工場で働く。急増する中間層に親しみやすいように設定した。演じるのは新人のクリスティアン・オクタフィアヌス・ロホさん(27)。主人公の友人の妹役で、アイドルグループJKT48のステラ・コルネリアさん(19)が出演する。全26話。各30分。6月30日(日)午後8時半に放送開始、再放送は毎週土曜午後3時。
◇ストーリー
太陽の光、水、酸素など生命の源となる要素のない暗闇の世界から始まる。残酷で無敵の力を持つラスプーチン率いる秘密組織「ブード」に支配されている。ある日、地球上の科学者が地球と他の星雲を行き来できる扉を発明。これに気付いたブードが自然豊かな地球への侵略を図る。ブードの力の源となるパワーストーンの一つを手に入れた青年がビマへと変身し、地球を救うために立ち上がる。(配島克彦、写真も)