都市高速鉄道が建設始動 ジョコウィ知事 落札業者を発表
ジャカルタ特別州のジョコウィ知事は2日、中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)前ロータリーで、都市高速鉄道(MRT)建設事業の第1期工事の落札業者名を正式に発表した。3区間のうち、2区間を大林組、清水建設、国営建設ウィジャヤ・カルヤ、1区間を三井住友建設、国営建設フタマ・カルヤの企業連合が受注した。1980年代後半の構想から24年。昨年10月の知事就任から半年かけ、事業費の8割強を日本の円借款が占める大型計画を大幅に見直した知事は「今夕、MRT建設を開始する」と高らかに宣言した。
MRTの第1期工事は、南ジャカルタのルバックブルスからHI前ロータリー間の15.7キロ。ルバックブルスからチプテ、ブロックM、シシンガマンガラジャ通りまでが高架部分。同通りアル・アズハル大からHI前ロータリーまでが地下鉄となり、完成すればインドネシア初の地下鉄となる。
今後、落札業者は州営ジャカルタMRT社と契約承諾書、契約書に調印して建設を開始する。州営ジャカルタMRT社のドノ・ブスタミ社長は「すぐに建設を開始できる」と話した。
式典に出席した国際協力機構(JICA)の佐々木篤所長は「MRT社内部の調整が遅れたため、落札業者の発表がずれ込んだが、今後は迅速に進むと思う。今日こうしてジャカルタ市民の皆さんの前でごあいさつできるのは光栄だ」と語った。
MRTはジョコウィ知事が就任直後から「MRT事業の早期着工を」と強調する一方で「建設費が高額なら再交渉の必要がある」と主張。負担率をめぐる国との調整を優先させたほか、先月には第3国の事業監視も示唆するなど、大事業に慎重に取り組む姿勢を示してきた。
日本の建設業者からは「落札業者の発表も当初の4月末からずれ込み、理由も不明確なまま建設費の再交渉を唱えるなど、正直困惑させられた」との声が聞かれた。
だが、落札したゼネコン業者の幹部は「今後は円滑に建設事業が進むような環境を整えてほしい」と話すなど今後の建設事業の進展に期待を寄せている。 (赤井俊文、写真も)
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