2020年まで5億ドル 東レが投資計画を発表 売上2倍増目指す
東レの日覺(にっかく)昭廣社長は18日、インドネシア東レ・グループの40周年記念式典出席のため、ジャカルタを訪れ、2020年までにインドネシア事業向けに、現在建設中の工場も含め、5億ドルの投資を行う計画を明らかにした。また、12年に約5億ドルだった売上を20年までに2倍超となる約11億ドルまで引き上げる目標を示し、インドネシア事業の強化を図る方針だ。
インドネシアでは、ポリプロピレン長繊維不織布(PPスパンボンド)生産工場が6月にも量産体制に入る予定で、自動車部品や電気・電子製品の材料として使用する工業用樹脂(エンジニアリング・プラスチック)のナイロンやPBT(ポリブチレンテレフタレート) の樹脂コンパウンド拠点は年内の操業開始を目指す。
すでにある繊維・テキスタイルやスパンボンドのほか、新規事業としてフィルム、水処理、医薬・医療などの分野への参入を進めていく方針を表明。具体的には、食品包装用フィルムの製造開始や水処理膜・装置の設計、製造・販売、人工透析サービスや東レが保有する医薬品の販売などを検討していく。事業拡大により、現在約5千人の従業員数は20年までに7500人に増える見込み。
日覺社長は、繊維・テキスタイル事業について、同社の強みでもある一貫した生産体制をインドネシアでも整備していく方針を表明。「従来、ASEAN(東南アジア諸国連合)に出てきたのは労務費が安いということもあったが、今では新興国として、経済発展に伴い購買力が上がり、高級品が売れるようになっている。インドネシアも一人当たりGDP(国内総生産)が4千ドルに近くになり、3千ドルを超えるといろいろなものが売れるようになり、5千ドルを超すと高級品が売れるようになる。人口が2億4千万人ということで大きな市場になってきている」と述べ、内需の取り込みにも力を入れていく意向を示した。
11社あるインドネシア東レ・グループを統括する東レ・インダストリーズ・インドネシア社の大河原秀康社長によると、現在の最終製品ベースでの国内向け比率は数%ほど。「内需が伸びる中で、イメージとしては2割ぐらいまで引き上げていきたい」としている。
東レは全社的な取り組みとして、アジア・新興国事業拡大(AE)プロジェクトを打ち出し、アジアやその他の地域の新興国で、積極的な事業展開の方針を示している。
東レのインドネシア事業は、1971年に、センチュリー・テキスタイル・インダストリー(CENTEX)社、インドネシア・シンセティック・テキスタイル・ミルズ(ISTEM)社が操業開始したのが始まり。(上野太郎、写真も)