国産小型機に命名 往年の航空技師「ヌルタニオ」 英雄の日に大統領発表

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は10日、国営航空機メーカー、ディルガンタラ・インドネシア(DI)が開発を進める国産新型小型プロペラ機「N219」を「ヌルタニオ」と名付けた。英雄の日にちなみ、国内航空産業育成に貢献した技術者の名前を採用した。今後飛行耐久試験を行い、2018年中に型式証明を取得、国産初の旅客機の事業化を目指す。

 名前の由来はスカルノ政権下の航空産業黎明(れいめい)期に活躍し、試験飛行中に事故死したヌルタニオ・プリンゴアディスルヨ空軍少将(1923〜66年)に由来する。
 国家の発展に貢献した先人をたたえる「英雄の日」に当たる10日、ジョコウィ大統領は東ジャカルタのハリム空軍基地で、「ヌルタニオ氏は生涯を航空産業にささげた」と賞賛した。
 2014年に本格的に始動した同事業は、ことし8月の独立記念日行事として試験飛行を成功させた。今後、300時間の飛行耐久試験などを行い、2018年に型式証明を取得する予定。
 乗客定員は19人で最大積載量は約7トン。巡航速度190ノット、最大速度210ノットで、航続距離は約1500キロ。ジョコウィ政権が掲げる海洋国家構想の下、離島をつなぐ航路需要が増加しており、離島やへき地を往来することが可能で、旅客や貨物輸送、避難用のほか、パトロールにも利用できるように設計している。
 ジョコウィ大統領は「(開発段階の)次のプロセスであるビジネス展開を考えていかなければならない。市場に本格的に参入することで航空産業は成長していく」と期待を表明した。価格は約600億ドルを想定している。
 日本の政府開発援助(ODA)案件で運輸省航空総局などに配属され、インドネシアの航空事情に詳しい伊佐田剛さんは、N219事業について「現在、10人程度乗ることができるセスナキャラバンや、40人収容可能なイタリア系のATR40などはあるが、中間の規模の航空機がなかった。開発により、輸送が便利になると思う」と話した。
 N219にはタイ、ミャンマーなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国やトルコの企業も購入に興味を示しているという。(平野慧)

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