【じゃらんじゃらん】王宮もバティックも 古都の雰囲気楽しむ 西ジャワ州チルボン (2017年10月27日)

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 中央ジャカルタのガンビル駅から特急「チルボンエクスプレス」で3時間程度東に行くと、古都チルボン(西ジャワ州)に着く。西洋建築の趣がある駅舎を出ると、オートバイや乗り合いバスの客引きに交じって、ベチャ(3輪の人力車)運転手のおじさんも声をかけてくる。ベチャで街へ繰り出そう。
 目抜き通りのシリワンギ通りには外資系を含むたくさんのホテルが並ぶ。1泊当たりの料金が30万〜50万ルピアと手頃な価格帯の場所が多い。
 ベチャに乗って通りを南下して行くと、クスプハン王宮がある。ヒンドゥー教が一般的だったジャワ島がイスラム化していくなかで活躍した九聖人のひとり、スナン・グヌン・ジャティが16世紀に築いたチルボン王国。王家は5代目の治世の時代にクスプハン、カノマン、クチルボナンの三つに分裂した。
 3王家の王宮の中でもチルボンのシンボルとして知られるクスプハン王宮は、15世紀に創建され、再建を繰り返して現在に至る。敷地内に残された建物の壁にはオランダや中国の古い陶器のタイルや皿が埋め込まれ、洒脱な印象を受ける。古くから交易の拠点として栄えたことをうかがわせる。
 ことし6月に新たに開設された歴史博物館をのぞいてみることにした。陶磁器や中世当時の鉄製の武器などが展示されている。ポルトガルや中国、オランダからの舶来品も並ぶ。ガイドのアト・ハルトノさん(46)によると「まだ倉庫にしまってある宝物も多い。日本からの文物も展示する用意をしている」という。
 歩いて行くと、ゾウの鼻と竜の角、鳥の羽を持つ動物をモチーフにした馬車が飾られており、観光客の多くが前で記念撮影をしていた。さらに奥に進むと、重量感のある扉が立ちはだかる。施錠されているのか開かない。アトさんに「ここにはスナン・グヌン・ジャティの遺物が納められていて、観光客が入れるのは毎週金曜だけ。無理に入ると神の罰が降りかかる」と諭されて断念した。出口付近には土産物店もある。
 王宮は現在も健在のスルタンが姿を見せるイベント時には、来場者や露天商でごったがえすという。19世紀に王権は消滅したが、現在も市民の憩いの場として残っている。「国破れてクスプハンあり」。そんな印象を抱いた。
 クスプハン王宮から南西に3キロほど行くと、スンヤラギ洞窟がある。18世紀初頭に作られたという説があり、スルタンの瞑想(めいそう)する場という位置づけだったという。約15ヘクタールの面積の中には洞窟や庭園が広がっている。洞窟は上ったり、通路を歩くことが可能で地元の子どもや観光客が狭い迷路のような道を楽しむ場となっている。
 バティック工房を経営する賀集由美子さんが同地に住んで活躍していることもあり、バティックの産地としてチルボンを知っている邦人は多い。チルボン駅から車で20分程度西に進むと、バティック工房の集まる地区「トゥルスミ」にたどりつく。
 バティック工房「カトゥラ」を経営するカトゥラさん(65)によると、トゥルスミにある工房は50軒程度だという。
 カトゥラには職人がこだわり抜いた作品が並ぶ。基本的には受注生産で仕事をしている。「細かい模様を施した品物には日本の人も満足してくれるだろう」と語った。同工房では不定期でバティック教室も開いている。
 海に面し、港町として栄えたチルボンには、オランダ植民地時代の建築や色鮮やかな中国寺院も目立つ。ジャカルタから車なら約5時間。「日帰りや1泊2日で行ってみようかな」と思えるたくさんの表情がある街だ。(平野慧、写真も)

スルタンの瞑想の場だったスンヤラギ洞窟
スルタンの瞑想の場だったスンヤラギ洞窟
おしゃれな雰囲気を残すチルボン駅
おしゃれな雰囲気を残すチルボン駅

シリワンギ通りで日曜のカーフリーデーを楽しむ市民
シリワンギ通りで日曜のカーフリーデーを楽しむ市民
まちのシンボルのクスプハン王宮
まちのシンボルのクスプハン王宮

王宮には当時をしのばせるレンガ作りの壁の跡などが残る
王宮には当時をしのばせるレンガ作りの壁の跡などが残る
王宮の歴史博物館で飾られている馬車
王宮の歴史博物館で飾られている馬車

東側の海には観光客用のコテージも浮かぶ
東側の海には観光客用のコテージも浮かぶ
カトゥラさん(右)のバティックには日本のファンも多い
カトゥラさん(右)のバティックには日本のファンも多い

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