車両登録証に個人許可 運賃上下限設定は継続 配車タクシー規制改定案

 政府は19日、最高裁が6月に改定を命じた米系ウーバーなどの配車アプリタクシー規制に関する運輸大臣令の改定案を公表した。条件付きで車両登録証(STNK)の個人名登録を認めたが、これまで自由だった営業可能地域はナンバープレート登録地のみに制限。運賃の上下限設定を継続することで既存タクシーに配慮し、両者の共存を目指した。 

 改定案は11月1日に施行する。既存、配車アプリ両タクシー運転手らの営業可否をめぐり各地で激化するデモに応え、両者に一定の解決案を示した格好。ただ施行後も3〜6カ月の周知・移行期間があるため、今後も動向が注視される。
 ブディ・カルヤ・スマディ運輸相とルフット・パンジャイタン海事調整相、ルディアンタラ通信情報相、ロイク・ルモワ国家警察交通局長がそろって会見し、ブディ運輸相は「寡占にならず、安心、安全な営業と公平さを与える規則」と自信を見せた。
 STNKの名義は、配車アプリタクシーを初めて規制した昨年の運輸大臣令から、「法人名に変えると自費で加入した車両保険が無効になる」などと問題になっていた項目。今回初めて個人名登録を認め、規制を緩和した。
 登録車両の四方には、営業地域と許可の有効期限、所属組合・法人名、運輸省のロゴが入ったステッカーを貼付することが義務付けられた。登録車と一般車両の識別を図る。
 また、運転手と乗客の安全を守るため、配車アプリ各社に保険適用を義務付けた。車両登録時は、車両型式登録証(SRUT)のコピーを新たに添付させ、半年に1度の車検と二種運転免許証の取得は継続。免許証番号は通信情報省に登録する必要がある。
 配車アプリ各社は、運行台数などを把握するための管理システムに通信情報省と運輸省陸運総局、首都圏交通管理庁(BPTJ)がアクセスできるようにし、監視を強化する。
 配車アプリ運転手の訴えを認めた最高裁判決で、健全な競争に反すると指摘された運賃の上下限設定は、混雑時間帯の運賃高騰から消費者を守り、配車アプリ側の過度な割引による「寡占状態を防ぐ」(ブディ運輸相)ために残した。
 これについて、グラブ・インドネシアのトリ・スクマ広報担当は、地元メディアで「運賃規制は健全な競争に反する」と指摘し、運賃設定についての地方首長との交渉は難航するだろうとの見方を示した。
 インドネシア証券取引所(IDX)では20日の取引で、既存タクシーの株価が下落。大手ブルーバードは19日終値4700ルピアから440ポイント下げて4260ルピアで取引を終えた。エクスプレス・トランシンドは同69ルピアから67ルピアに2ポイント下げた。(中島昭浩)

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