地産地消の乳製品製造 三井物産 西ジャワの酪農場開所

 三井物産は20日、西ジャワ州ガルット県に現地食品大手ABCグループとの合弁事業で建設した酪農場を開所した。牧場と工場への初期投資額は約56億円。地産地消型の乳製品製造事業に進出する。三井物産がアジア圏で酪農事業に参画するのは初めて。
 提携の動きは2015年ごろから加速した。三井物産はABCグループの子会社、ABCコーゲン・デイリーとラッフルズ・パシフィック・ハーベストの2社に約10億円ずつ出資し、双方ともに30%の出資比率を持つ。 
 ABCコーゲン・デイリーは7月、西ジャワ州バンドン県チチャレンカに年間100万リットルの乳製品を生産可能な工場を建設。年内に生産を開始する。 
 ラッフルズ・パシフィック・ハーベストは用地面積72ヘクタールの酪農場を運営する。現在の乳牛の飼育数は千頭に満たないが、工場稼働と連動して事業を拡張、最終的には1万頭規模の展開を目指す。 
 ABCグループ幹部によると、設備の生乳生産の最大容量は1日160トン。「世界基準から見ても遜色(そんしょく)のない設備。質の高い、高付加価値型の製品作りができる環境」(アジア・大洋州三井物産シンガポール支店、松岡大志食料室長)だという。 
 三井物産によると、インドネシア国内での1人当たりの乳製品の年間消費量は約12リットルで、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)各国よりも少ない。効率性の問題などから産業としても伸びず、国内自給率は3割を割り込んでいる。 
 一方で、牛乳など液状乳製品の消費の伸び率は高く、中間層の拡大や流通の発達とともに成長が期待される分野だ。 
 流通、販売面が今後の課題となるが、ABCグループは茶系飲料や調味料で成功してきた実績があり、約50万の小売店鋪を持つ。他社との差異化を図りブランド作りを進める。 
 三井物産はニュージーランドで輸出用の酪農事業を行っており、そのノウハウを活用する。 
 アジア・大洋州三井物産の森本卓社長は「インドネシアでは資源や機械など多様な大きい事業を行ってきた長い歴史を持つ。酪農も新しい大きな柱の一つになるだろう」と期待を語った。 
 三井物産は鉄鉱石や原油・ガスなどの開発に強みを発揮する一方で、非資源分野の強化を進めている。東南アジアでは情報通信技術(ICT)を使った小売事業の開拓を進めており、ショッピングサイト「マタハリモールコム」を運営する大手財閥リッポー・グループ傘下の企業に出資している。(平野慧、写真も)

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