【じゃらんじゃらん】死の森へ 民営化で地域振興 パパンダヤン山 西ジャワ州ガルット県

 かつて40の村の約3千人の命を奪った大噴火があった西ジャワ州ガルット県の活火山、パパンダヤン山(2665メートル)。2016年、環境林業省の管轄から民間企業の管理に変わり、雇用創出と観光誘致に向け、環境整備が進められている。  
                                    ジャカルタからチカンペック、プルバルニの両高速道路をバス(片道運賃6万5千ルピア程度)に揺られて約6〜8時間。ガルット・バスターミナルに到着する。バスを降りるとオジェック(二輪車タクシー)やアンコット(乗り合いバス)の運転手が駆け寄ってくるので、「パパンダヤン山に行きたい」と告げると、麓のチスルパン市場まで約1時間で連れて行ってくれる。
 麓からはピックアップトラックかオジェックで急勾配の道を進み、標高約2千メートルにあるパパンダヤン山自然観光園の入り口まで約30分。気温は15度前後と肌寒い。
 入場料(外国人は平日20万ルピア、休日30万ルピア)を払い山道を上り始めると、髪の毛に水滴がつくほどの霧に包まれ、腐卵臭が鼻をついた。敷地内3カ所にある火口からは今も硫黄ガスが噴出している。
 30分ほど登ると、ポップミーなどの軽食や飲み物を売る小屋が4軒ある広場に到着。そこから岩などで段が作られた道をさらに30分。02年の噴火で焼け焦げた木々がそのままの姿で乱立する死の森「ウータン・マティ」が眼前に広がった。単独でキャンプに訪れた北ジャカルタ・タンジュンプリオク在住のウキさん(30)は「曇っている時はとてもミステリアス」と話す。
 パパンダヤンで大噴火があったのは1772年。その後、1923〜26年に小規模なものを合わせ複数回噴火があった。死の森から約45分登った先の頂上には、23年の噴火でできた広さ約35ヘクタールのクレーターが広がる。この一帯はジャワ島固有種のエーデルワイスが群生する「テガル・アルン」と呼ばれ、美しさは東南アジア随一とも。
 自然観光園の広さは、政府の自然観光保護区225ヘクタールのうち約92ヘクタール。約6時間で1周できる。キャンプ場はポンドック・サラダ(広さ6ヘクタール)とホベルフット(同2ヘクタール)の2カ所があり、一度に約8千人が滞在できる。
 民間企業アスリ・インダ・レスタリ(AIL)に運営が変わった後、2016年7月に新たに開園。山道にゴミ箱やトイレ、キャンプ場に水浴び場、礼拝所が設置され、入り口付近には温泉公園ができるなど環境整備が進む。
 施設の拡充に合わせ、警備員や清掃員、軽食店などの雇用を創出。公園内だけで職員は78人。麓のチスルパン市場付近にあるホームステイやガイドなど外部の観光関連の仕事を含めると、開園から約1年で周辺住民150人以上が民営化の恩恵を受けている。
 園のインフォメーションセンターを統括するアセップ・アディクさん(40)は「公園の清潔さや安全面のレベルを引き上げ、来場者を増やさなければならない。そのためにいろいろな施策を講じているので、これまでよりサービスの質は高くなっている」と自信を見せた。昨年の年間来場者数は、15年比で約30%増の3千人。
 火山地質災害対策局(PVMBG)によると、パパンダヤン山の火山活動警戒レベルは、ことし5月時点で4段階中最も低いレベル1(平常)。現時点で噴火の心配はない。2月から断続的に噴火している北スマトラ州のシナブン山は、最高のレベル4(避難準備)に指定されている。
 ガイドは英語対応可能で、1グループ5人以上から。料金は、2〜3時間のショートトリップが25万ルピア。4〜6時間のロングトリップ35万ルピア。日の出観賞プログラムが入った6〜8時間のワンデイトリップが45万ルピア。(中島昭浩、写真も)

◇ PT. ASRI INDAH LESTARI
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