楽しみながら触れて 展覧会「遠足プロジェクト」 東日本大震災で寄付の ランドセルをアートに

 南ジャカルタ・クマンにある「エドウィンズ・ギャラリー」で9日、東日本大震災後に寄付されたランドセルを使ったアート展覧会「遠足プロジェクト」のワークショップが開催された。ランドセルとアートを組み合わせた作品に楽しみながら触れてもらうことで、東日本大震災をより身近に知ってもらい、記憶に残してほしいとの思いで2012年から開かれてきた。
 同展覧会は、震災後に寄付されたランドセルの寄贈先がなく、廃棄処分されていることを知ったカナダ在住の日本人芸術家、武谷大介さんと、宮城県女川町在住の美術教師、梶原千恵さんが始めた。日本国内だけでなく、カナダやフィリピン、シンガポールでも巡回展を実施してきた。
 会場には日本やインドネシア、フィリピン、シンガポール、カナダ、フランスなどの芸術家ら61人がデザイン、制作した58のランドセルが並んだ。続いて香港、マレーシアでも開催される予定。
 9日に会場を訪れた武谷さん。東日本大震災の被災地から遠く離れた場所では、災害のリアリティを感じてもらうことが難しいだけでなく、震災や災害をテーマにしたアートや展示会、写真展などは内容が重くなりがちと説明する。
 また震災から長い時間がたつと、被災者でさえも当時のことについて話さなくなってしまう。そんな中で「直接関わっていない人たちにどう関わってもらえるか、また長く続けることができる展覧会」を目指してきた。
 武谷さんは「楽しみながら作品に触れられる展覧会。ランドセルは実際に背負うことができ、作品に直接触れた子どもたちや大人が、ランドセルの話を家族や友達にすることが、震災を話題にし記憶に残すことにつながっていく」と語った。
■各国の人を巻き込んで
 同展覧会では、現地の芸術家らが参加し、現地でつくった作品を取り入れている。展覧会に対する敷居を低くするためといい、9日にはランドセルを背負って歩くウオーキングツアーに親子ら約20人が参加した。
 作品の中から気に入ったランドセルを選び、初めて背負う子どもたち。友達や家族と手をつなぎながら15分ほど、同ギャラリー周辺を歩いた。
 また布バッグにフェイクファー(人口毛)やぬいぐるみなどをつけて好みのデザインにするバッグ作りや、インドネシアの災害やごみについて話し合うディスカッションの場も設けられた。
 ジャカルタでの同展覧会は現代アート団体「ルアン・ルパ」が主催し、1〜9日に開催された。国際交流基金が費用の一部を助成した。ことし3月には、スマトラ沖地震で津波を経験したアチェ州バンダアチェでも実施された。(毛利春香、写真も)

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