コーチを1年間派イ FC東京 長期指導で若手育成 Jリーグ初、6月から

 日本のプロサッカーチーム「FC東京」を運営する東京フットボールクラブ(東京都江東区)が東ジャカルタのサッカーアカデミーと提携し、6月から1年間、コーチ1人を同アカデミーに派遣する。長期の指導者派遣はJリーグ所属チーム初。インドネシア・サッカーの将来性を見据えた取り組みで、指導者、若手育成を支援する。

 他のJリーグ所属チームは、タイのチーム、アカデミーと提携し、選手や指導者間の交流を行っている。インドネシアでは、大宮アルディージャや浦和レッズなどが1日単位でサッカー教室を開く短期間の指導が中心だった。
 東京フットボールクラブの藤原兼蔵新規事業部長(42)は、初の長期派遣先をインドネシアに決めた理由を「世界4位の人口とサッカー人気、日系企業と日本人の多さに加えて、他のJリーグ所属チームが未進出で親日的な点。今後5〜10年で、サッカーが確実に発展すると確信している」と説明する。
 派遣されるコーチは、同クラブ普及部の込山友さん(25)。FC東京のユース出身で、幼児〜U―12の指導を担当して4年になる。
 込山さんの指導を受けるのは、1972年創設で多くの代表選手を輩出してきた名門「ビナ・タルナ・フットボール・アカデミー(BTFA)」。U―10〜U―18までの約250人が通う。独自のプログラムと寮生活、近隣私立学校の学費免除などを通して、若手有望選手の育成を支援している。
 BTFAを運営するNACストラタ・アジアは、FC東京側の指導ノウハウを100パーセント生かすためのインフラ整備を1年以内に実施。15年間未改修だったグラウンドなど練習環境を整え、込山さんの滞在費や賃金なども負担する。
 インドネシア側にとって、日本からのコーチ招へいは、ことしの東南アジア大会(SEAゲーム)優勝、2018年のアジア大会ベスト4入りを目指す、インドネシア・サッカー協会(PSSI)の若手育成方針に沿った動き。
 BTFAオーナーのガトット・ハリヨ・ステジョさん(55)は「(指導者招へいは)1、2年でなく、長く続けたい。ワールドカップに参加している日本の指導方法を伝える橋渡し役をFC東京に担ってほしい」と期待を寄せた。
 今回の東京フットボールクラブとBTFAの提携のきっかけになったのは、国際交流基金アジアセンターの助成事業「東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国への短期指導者派遣」への参加だった。
 事業に沿って、同クラブは2016年1月以降、コーチ3人を計5回、インドネシアへ派遣し、BTFAと他の1チームで各5日間指導した。3月13〜19日にはBTFAの3選手と通訳兼コーチ1人を招き、同世代の選手コーチとの交流を促進する。
 藤原部長は、今後について「まずインドネシアでFC東京の知名度を向上させ、将来的にスポンサー獲得やアカデミーを開設したい」と語った。
 6月から長期派遣される込山さんも短期指導者派遣事業で今月14〜20日に初来イした。BTFAで選手を指導した際、「大人が子どもを一番に考え、何ができるかを本気で考えることが最も重要。ごみ掃除も含め教えたことを日常化する。グラウンド改修など環境が良くなれば、サッカーも変わる。体はもちろん、良いプレーも持っているので、あっという間に日本を超える」と話し、1年間の長期派遣を前に手応えをつかんだ様子だった。(中島昭浩、写真も)

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