【サリナ前爆破テロから1年】(上)「恐怖に包まれた」 聴覚に障害、完治まで3年 警察官のデニーさん (2017年01月24日)

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 政府要人の警護に当たっている警視庁交通局の警察官デニー・マヒュウさん(49)は2016年1月14日、警護対象がなかったため、オートバイでモナス(独立記念塔)広場前ロータリーからホテルインドネシア(HI)前ロータリーを周回し、中央ジャカルタ・タムリン通りのサリナ前警察官詰め所に戻ってきたところだった。突然の爆発音で倒れ、翌15日午前4時半までのことはよく覚えていない。聴覚に障害が残り完治までは3年と診断された。実行犯4人を含む8人が死亡したサリナデパート前爆破テロが起きてから1年。被害者の話を聞いた。

 「最初の爆発があり恐怖に包まれた。出入り口のそばに、黒いかばんに入った爆弾が仕掛けられていたと聞いた。(事件の時は)それが爆弾かどうかは分からなかった。知っていたら(詰め所の)中に入っていなかった」
 最初の爆発は、詰め所から20メートルほど北東のスカイラインビル1階にあるスターバックスコーヒーで起きた。午前10時40分ごろだった。詰め所が爆破されたのは、その約20秒後のことだったという。
 「爆発があって詰め所の中から見ていたら、爆音が右耳から頭を駆け巡り、左耳から突き抜けた」。爆破の衝撃で、詰め所の出入り口やガラスは壊れた。中でうずくまっていたデニーさんが救出されたのは、午後11時すぎ。チプト・マングンクスモノ病院に搬送され、緊急手術が終わったのは約18時間後だった。爆発を受けた右腕や右太ももには、赤黒い傷跡が残る。
 約2カ月間の入院後に戻った自宅では、満足に歩けずに不自由した。頭痛にも時々襲われる。外耳を損傷し右耳は聞こえづらい。医者からは完治には少なくとも3年と診断された。
 入院費約36億ルピアは証人・被害者保護法(14年第31号)に基づき国が負担。しかし、退院後の薬代や通院費は支払われず、貯金や親族らと警察の上官、支援者からの寄付金を使ってきた。総額は約5億5千万ルピアに上る。
 退院後にかかった医療費を含め、デニーさんは政府に対し、補償金の支払いを求める訴える傍ら、被害者を支援する非政府組織(NGO)で、被害体験を語る集会に参加している。
 主催するNGOの一つ、インドネシア生存者財団(YPI)は、テロ被害者の支援拡充に向け、反テロ法(03年第15号)改正に合わせ、被害者を特定する方法や被害の程度を評価できる機関を通した補償金の支払い制度などを改正案に盛り込むよう国会(DPR)に求めている。(つづく)(中島昭浩、写真も)

サリナ前爆破テロ発生から1年が経過し、NGOとともに警察官詰め所に献花したデニーさん。右腕には生々しい傷跡が残る=14日、午前10時32分
サリナ前爆破テロ発生から1年が経過し、NGOとともに警察官詰め所に献花したデニーさん。右腕には生々しい傷跡が残る=14日、午前10時32分

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