石油、ガス開発に貢献 KEI社長の鈴木さん帰国へ 「その場その場で全力投球」 (2016年12月29日)

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 バリ島北方のカンゲアン鉱区のガス田を開発、採掘を手がけるカンゲアン・エナジー・インドネシア(KEI)社長の鈴木勝王さん(71)=仙台市出身=が12月で退任、帰国する。石油、ガス開発に尽力した半生や、このほど出版した著書について話を聞いた。

 鈴木さんは秋田大学鉱山学部卒業後、1969年に石油資源開発(JAPEX)の前身にあたる石油開発公団に入団。さまざまなプロジェクトに携わり、訪問した国は五十数カ国に上る。
 印象に残っているのは96年からイラクの首都バグダッドに通い、交渉を続けて2009年に落札した同国のガラフ油田とカンゲアン鉱区の開発だという。
 「会社に入ったからには巨大油田を発見、開発、採掘するという目的を達成したかった。出世ではなく、その目的のため一生懸命やった。それを周りが認めてくれた」と振り返る。
 要職を歴任し12年に副社長を退任後、休む間もなくKEI社長に就任。鉱区の開発を進め、国内で7番目のガス生産量を誇る企業に成長させた。日イ両国のエネルギー需給に貢献した企業人生だ。
 石油をめぐって文明は飛躍的に発達し、その一方で数多くの戦争が起きてきた。石油の発見で人類は幸せになったのだろうか、という記者の問いかけに対して「幸せになったと思う。電気が24時間つき、車も走り放題。エネルギーに対する感謝がなくなってきているが、感謝の気持ちを忘れてはならない」と話し、「争いについては人間の性(さが)の問題だ。利権や富の不平等、争いを招いていることについては政治家などの使い方が悪い。一部の人に集まらないようにしなければならない」と希望を語る。
 インドネシアで駐在して働く心構えを聞くと「日イの文化の違いはあり、うまくいかないこともたくさんあるが、他人に責任を転嫁してはいけない。同じ目線で考え他人を巻き込む努力をしていかなければならない」と話した。
 インドネシアでやり残したことは「ない」という。「その場その場で全力投球していった結果だから」
 今後もJAPEXに籍を置き、インドネシアとの関わりは続く。大学や企業で、講演活動も行い経験を伝えていく。
 自身の高校時代、勉強そっちのけでバスケットボールに打ち込み、チームが東北大会チャンピオンになったエピソードに触れ、「学生には、何事も目標を持ち、夢中になってやってほしいと伝えている。我慢強さや発想の転換が培われる。失恋など失敗もどんどんしてほしい」と笑った。

■石油から歴史捉え直す
 鈴木さんは10月に「インドネシア石油戦争の歴史」(霞ヶ関出版)を出版した。オランダ東インド会社の時代以前から、インドネシアの交易などの歴史を振り返り、後半では日本が進出した太平洋戦争について石油を軸にして考察する。日蘭関係や戦時中に石油技術者が多数死亡した「阿波丸事件」など広く知られてこなかった情報が満載だ。 「インドネシア社会に食い込んでいく上で、過去の話を知っているだけで話の弾み方が違う。石油がなかったらこの国はここまでこなかった。すべての基幹だった。参考にしてほしい」と鈴木さんは話した。同書についての問い合わせはメール(naoya.sueoka@japex.co.jp)まで。(平野慧)

新著を発表した鈴木勝王さん=佐藤拓也写す
新著を発表した鈴木勝王さん=佐藤拓也写す

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