日本の高校生らアチェへ 博物館や避難タワー 津波被災地を訪問

 高知県黒潮町で11月、開かれた「『世界津波の日』高校生サミット」に参加した日本の高校生3人と大西勝也・黒潮町長らが17日、2004年のスマトラ島沖地震・津波の被災地、アチェ州バンダアチェ市を訪れた。津波の犠牲者が眠るシロン墓地や津波博物館、避難タワーなどを視察し、地元の高校生と交流を深めた。
 参加したのは、日高高校(和歌山県御坊市)の中井充歩さん(16)、高校生サミットで議長役を務めた大方高校(黒潮町)の今井恋さん(15)と今村琳花さん(16)の3人。15日にジャカルタで開かれた「世界津波の日」シンポジウム出席のため、インドネシアを訪問した。アチェ視察には、福井照衆院議員(自民党)らも参加した。
 高校生たちは、04年の津波で生徒288人、教員24人が亡くなったバンダアチェ第1高校を訪れ、高校生サミットに参加した同校の生徒らの歓迎を受けた。
 バンダアチェ市内にある津波博物館では、「稲むらの火」の逸話や東日本大震災の被害を紹介した日本コーナーを見学。04年に高さ13メートルの津波に襲われ、住民の8割が亡くなった沿岸のムラクサ地区では、日本政府の支援で建てられた津波避難タワー(高さ約25メートル)に上った。
 津波で海岸から約2・5キロ内陸に押し流された発電船は、現在もそのままの姿で保存され、内部は資料館になっている。
 3度目のアチェ訪問となった福井議員は、過去の訪問で最も印象に残ったという、シムル島の展示に高校生を案内。津波が来たら高台へ逃げるという口承があった同島では、震源近くにもかかわらず、人口7万8千人のうち死者がわずか7人だったという話に、皆が真剣に聞き入った。
 視察後、中井さんは「まずは学校のみんなに経験を伝え、自分たちができる啓発活動をしていきたい」と話した。22日の終業式で、高校生サミットや今回の視察の成果を発表するという。
 04年には最大34メートルの津波がアチェ州を襲った。南海トラフ地震の被害想定で日本一高い34メートルの津波が予想される、黒潮町の高校に通う今村さんは「ここに34メートルの津波が来たらしいけど、今は復興して、みんなしっかりと前を向いて生きている。(津波が)来ないことが一番良いけれど、もし来た時には、私たちも協力し合って逃げ、(町を)復興させたいと思う」と語った。
 大西町長は帰国後、町内に住むインドネシア人に向けて報告会を開き、防災啓発につなげるつもりだ。同町ではインドネシア人漁業実習生約60人がカツオ漁などを学んでいる。「地域住民の方よりも情報が入りにくい。実習生の命もしっかり守らなければ」と語った。(木村綾、写真も)

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