連立与党多様性訴え HIで集会 イスラム勢力に対抗

 連立与党3党は4日、日曜のカーフリーデーを利用し、中央ジャカルタのホテルインドネシア(HI)前ロータリーで、インドネシアの多様性を守るよう呼びかける集会を開いた。宗教冒とくの容疑者に認定されたアホック・ジャカルタ特別州知事の逮捕を訴え、多数派であるイスラムの勢力を誇示した2日の20万人集会とは打って変わり、キリスト教、仏教などの団体も参加。華人などの伝統芸能も披露され、多宗教、多民族の共存を訴えた。
 「私たちはインドネシア」をテーマに掲げた集会は、連立与党でアホック知事再選を支持するナスデム党やゴルカル党、開発統一党(PPP)が中心に開催。スディルマン、タムリン通りに数万人が集結した。
 ナスデム党のスルヤ・パロ党首は、HI前ロータリーに設置されたステージで演説し、「国家5原則パンチャシラの精神を国家や民族統一の基盤にしなければならない」と呼びかけた。ナスデム党はアホック知事の再選支持を最初に表明しながらも、宗教冒とくの容疑者認定後はアホック氏の支持再考を示唆している。
 集会では巨大な国旗メラプティが広げられたほか、各政党の旗や横断幕が翻った。有力実業家トミー・ウィナタ氏のアルタ・グラハ・グループの団体は、2日の集会を動員したイスラム指導者らに「平和に実施され、ありがとう」と伝える垂れ幕を手に行進した。
 この集会についてスマルソノ知事代行は同日、カーフリーデーを政治目的に利用したと批判した。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の所属政党・闘争民主党(PDIP)は11月19日、モナス(独立記念塔)広場周辺で「多様性の中の統一」パレードを開いたが、この日の集会には参加しなかった。アホック知事とペアを組むジャロット副知事は、知事代行の批判に同調したうえで「知事選絡みの横断幕などは見当たらなかった」と強調した。
■プラボウォ勢力摘発
 2日の集会は全国各地からムスリムが集結し、既に起訴されたアホック知事の逮捕や有罪を訴えるイスラム勢力誇示の場となった。動員には野党グリンドラ党のプラボウォ・スビヤント党首の勢力が密接に関わり、プラボウォ氏が出馬した2014年大統領選で、同氏のキャンペーンを展開した民間テレビ局TVワンの講話番組に出演するイスラム指導者らが中心となり集会を組織した。
 集会直前には、TVワンのトーク番組などで、アホック氏やジョコウィ氏批判を展開してきた活動家のラトナ・サルンパエット氏や、グリンドラ党から西ジャワ州ブカシ県知事選に副知事候補として出馬しているミュージシャンのアフマッド・ダニ氏ら10人が、国家転覆や情報・電子商取引(ITE)法違反の容疑で逮捕された。3日にはダニ氏ら7人は釈放されたが、プラボウォ氏は「政府転覆との容疑は大げさだ」との見方を示した。(配島克彦)

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