奇数・偶数、効果あり う回路では渋滞深刻化  JICA専門家調査

 ジャカルタ特別州の渋滞緩和のための交通規制策「奇数・偶数」制度が8月末に正式導入されてから26日で3カ月が経過した。国際協力機構(JICA)専門家として経済調整省に派遣されている加納潤吉都市交通アドバイザーは「渋滞緩和に成果が出ているが、う回路では渋滞が深刻化している」と指摘した。
   
 加納さんは前任の秋村成一郎さんから公共交通指向型開発(TOD)を推進するプロジェクトを引き継いだ。同制度が試験導入された7月末の赴任後、秋村さんと同様にスディルマン、タムリン両通りで通行時間を調査している。
 調査は規制対象のスナヤン・ロータリー〜ホテルインドネシア(HI)前=第1区間=とHI前〜モナス広場前ロータリー=第2区間=に加え、う回路としてモナス広場前から中央ジャカルタ・タナアバン〜国鉄カレット駅前〜スリピ〜ブンカルノ競技場脇〜スナヤン・ロータリーをそれぞれ北上・南下に分け、自動車での通行にかかった時間(旅行速度)を計測した。
 その結果、午前7時〜同10時と午後4時〜同8時の規制時間内ではほぼ全ての区間で20キロを上回り、過去の調査結果と比べても、混雑緩和が見られた。
 規制時間外に比べて約4.3キロ速い区間もある。平均速度は正式導入後の9、10月は8月より低下しているが、11月は上昇しており、加納さんは「取り締まりが厳格に運用されている」と話した。
 また第2区間北上では、規制時間外の方が1キロほど速いが「通勤でスマンギ交差点を経由し都心部へアクセスする人が多く、規制時間内は特に混雑しているため」と説明した。
 一方、う回路ではモナス〜カレット駅前までが平均10キロ未満と渋滞が深刻化。加納さんは「タナアバンとカレット駅周辺では常に渋滞が激しい状態。特に朝は駅前に配車アプリのオートバイや通勤の車両が多いことが要因。車両が踏切内に入って危険な場面もあった」という。
 日本交通情報センターは、一般道では時速10キロ以下を「渋滞」、同20キロ以下を「混雑」と定義している。

■歩行者環境の向上を
 今後の渋滞対策には「都市部へ流入する車両台数の管理と公共交通機関へ乗り換えやアクセス向上が必要」と加納さん。車両台数管理は、対象道路で通行料金を徴収する電子課金システム(ERP)の導入に期待する。徴収した料金は、道路や駐車場などの整備に充てる財源確保にもつながる可能性もある。
 公共交通機関へのアクセス向上には、歩道や駐車場の整備が重要。加納さんはこれまで、修繕されないままの道路や歩道を走るオートバイ、お年寄りや障がいを持つ人にとって上り下りが大変なバス停への陸橋など、歩行者にとって危険で、不便な環境を目にしてきた。「危ないからといって短い距離でもタクシーに乗る。駅前に車を置けないので利用が進まない。交通マナー向上や免許取得方法の改善など交通教育が必要」と話した。(中島昭浩)

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