政府保証なしで融資 JBIC 方針転換へ

 国際協力銀行(JBIC)の前田匡史副総裁は20日、インドネシア政府の財政健全化を支援する一環で、「従来のソブリン(政府債務)の与信から政府系保証のない融資手法へシフトしていく」と述べ、今後計画される巨額融資案件にも保証なしで検討していく方針を示した。

 財務省でインドネシア政府機関と行われた「財務政策対話」の年次会合による共同会見で方針を示した。前田副総裁は昨年9月、日本と中国が受注を競ったジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道に触れ、「コスト的には日本の方が中国より安かったが、政府保証の有無が中国案採用の決定的なポイントだったと理解している」と述べ、今後の融資方針の転換を印象づけた。
 前田副総裁は、インドネシア政府が財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑える政府方針に沿い、財政負担をかけない効率的な融資を検討していくとし、「PPP(官民連携)の枠組みで、政府系のインドネシア・インフラ保証基金(IIGF)サラナ・マルチ・インフラストラクチャー(SMI)と協力していく」とした。
 政府保証を付けないことで、JBIC側にリスクが増えるとの問いには、「政府保証を付けないことでリスクが高まるとは、一概に言えない。定期的にモニタリングしている」と述べた。
 同日、JBICは北ジャカルタ・タンジュンプリオク港周辺に発電能力800メガワット(MW)規模のガス火力発電所を建設する上で、国営電力PLNに直接融資する覚書を結んだ。PLNへの直接融資はことしから始まり、今回2回目。これまではインドネシア財務省を経由して融資する「ツー・ステップ・ローン」が一般的だったが、PLNの信用力が高まったと判断、保証なしで融資を決めた。
 前田副総裁は個別案件について、「電力以外には、鉄道や高速道路など新しいプロジェクトに対し政府保証を前提としない融資を検討していく」と話した。また、バンテン州ボジョヌガラで計画されるガスの受け入り基地の建設案件に対し融資を検討していると言及。ジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道建設案件は「これからの話」とした。
 前田副総裁は会見内で、JBICと世界銀行のインドネシアへの融資額を比較し、「ことしに限れば世界銀行の2倍に上る」と成果を強調した。同氏は今回の来イでユスフ・カラ副大統領やルフット・パンジャイタン海事調整相らと会談した。
 財務政策対話の年次会合は、2010年にJBICが支援するインフラ案件や資源案件に対しハイレベル協議を実施するために始め、今回で6回目。(佐藤拓也、写真も)

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