技術、知識の共有を 安藤JICA所長が講演
国際協力機構(JICA)インドネシア事務所の安藤直樹所長が15日、南ジャカルタのブディ・ルフール大学(UBL)で、「インフラ開発におけるインドネシアでの日本の役割」をテーマに講演した。学生ら約300人が、JICAの活動やインドネシアでの事業などについて聴講した。
安藤所長は、「教えることは学ぶこと」と「自助努力」の考え方をJICAとしては大切にしていきたいと述べ、「日本は昔は豊かな国ではなく他国から支援を得ていた。発展のための技術や知識は世界で共有されるべき」と語った。
また「東京のような都市をつくるには、地下鉄や水道整備など地下開発を進める必要がある」と話し、円借款事業の大量高速鉄道(MRT)建設に言及。東京やインドのデリーで進む地下鉄建設と比較しながらMRTについて説明した。
学生からは「インドネシアは今後、自立していけるか」、「インフラと人材育成はどちらがより大切か」などの質問があった。
これに対し、安藤所長は、インドネシアのインフラ整備向け予算で、日本の政府開発援助(ODA)が占める割合は5%程度と説明した。さらに、インドネシアで実施されているJICAの援助案件約50事業のうち、日系企業が参加しているのは2事業と話した。
その上で「インドネシアはすでに自立していると思う。一方で、MRTをはじめ建設事業に関する新たな技術などは日本のものを利用してほしい。世界はどんどん小さくなっており、互いにもっとコミュニケーションしなければならない。インドネシアももう少し広く、他の技術と接してほしい」と語った。
講演では、洪水被害やジャカルタの地盤沈下、火山活動などの災害、森林保護、母子手帳の配布などこれまでに実施してきたプロジェクトも紹介され、それぞれの分野におけるインドネシアの現状に関する説明もあった。(毛利春香、写真も)