全国各地で犠牲祭 ジョコウィ大統領 1.5トンの牛を寄贈 ブロックMで2500人分
ムスリムの最も重要な行事の一つである犠牲祭(イドゥル・アドハ)を迎えた12日、約2億人のムスリムが全国各地で祝った。南ジャカルタ・ブロックMでは2500人分の肉が配られ、貧しい人々に振る舞われた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は世界最大級の大きさを誇るイスティクラル・モスクに国産の巨大な牛を寄贈した。
ブロックMの貴金属店「シンガラン」では、毎年店前の歩道で寄贈された牛やヤギを食肉処理し、近隣住民にその場で解体された肉を配布している。店主のイルファン・サギさん(39)は、ことしは昨年より多い牛20頭とヤギ14頭の約2500人分が用意できた。韓国系のカラオケ店からも寄付があったと話す。
午前8時ごろから解体作業が始まり、約30人の男たちが作業を終えたのは午後5時半近くだった。店の前には約500人が殺到した。
7時間半待ったという主婦のノルさん(32)は西ジャワ州ボゴールから親戚の家に帰省。「3家族分合わせて10袋(計20キロ)をやっと受け取れた。家に帰ってから1度煮沸し、今夜はおいしいルンダンを皆で食べる」。待ち疲れた表情から打って変わり、笑顔で帰宅を急いだ。
解体から配布まで取り仕切ったサギさんは「1日10万ルピアに満たない給料で働き、肉を買いたくても買えない人が多くいる。地域の安全を守ったり、活気づけてくれている人たちに分けるのが私たちの義務」と語った。
中央ジャカルタのイスティクラル・モスクでは、ジョコウィ大統領とユスフ・カラ副大統領が重さ1・5トンと1・3トンの牛を寄贈した。
全部で牛24頭とヤギ14頭がささげられ、約3千人分の肉が配られた。大統領は他にも中部ジャワ州ソロやマルク州など5地区に牛を贈った。
大統領はこの日、バンテン州セラン市のモスクで犠牲祭を祝い、「人間は多くの犠牲の上に成り立っていることを、家族や地域で再確認する重要な機会。これからも国のため一体となって働いていこう」と呼びかけた。
一方、来年2月のジャカルタ特別州知事選を控え、寄贈する牛をめぐっても政界の話題になった。
ジャカルタ最古のモスクの一つで、州政府が周辺の再開発計画を進めている北ジャカルタ区プンジャリンガンのルアール・バタン・モスク付近の住民らは、アホック知事の牛を拒否したと報じられた。
近隣のパサールイカン地区では4月に大規模な撤去があり、華人でキリスト教徒のアホック氏への反発もある。(中島昭浩、写真も)