【石油マフィア】(上) 石油輸入、からむ海外 政府に巣食う利権の影 精製設備なく、ふくれる補助金 (2014年09月08日)

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 ジョコウィ次期大統領の政権移行チームとユドヨノ政権が燃料値上げをめぐり綱引きするなか、汚職撲滅委員会(KPK)が先週、ジェロ・エネルギー資源鉱物相を汚職事件の容疑者に認定した。今年は282兆ルピア(約2兆5千億円)、中央政府予算の22%を占める燃料補助金に何が起きているのか。大統領選ですでにマフィアミガス(石油ガスマフィア)の存在が見え隠れしていた。

 「マフィアはいるのか。いないのか」
 9日の大統領選投票日を控えた7月5日。選挙戦最終日のテレビ討論会で、カラ副大統領候補はここぞとたたみかけた。その数日の間で、ハッタ副大統領候補(前経済調整相)に、政府による石油輸入に介入してもうけている疑いがあるとの非難が降りかかった。
 「国家予算から毎年千兆ルピアこぼれている」と声高に訴えるハッタ氏は「インドネシアは法治国家である」と返答。法が執行されていないことを責められないと反論した。カラ氏は笑みを浮かべ、ハッタ氏を支持する政党幹部の汚職容疑を次々にやり玉に挙げた。「石油、コメ、牛肉、コーラン、巡礼、森林、すべて汚職撲滅委員会(KPK)が捜査中ではないか」。あからさまにハッタ氏の反応を探るようだった。
 大統領選の激戦の中で出てきた暴露。討論会に先立つ7月2日、ユドヨノ政権の大統領諮問委員会委員長を務めたエミル・サリム元環境相は別の討論会で「副大統領候補のうち『イニシャルR』が石油マフィア」と指摘した。Rが付くのはハッタ・「ラジャサ」氏だけだ。
 「ギナンジャール元経済調整相がエネルギー鉱物資源相を務めた時代(1988年〜93年)を最後にインドネシアは石油精製設備を持たなくなった。原油輸入も補助金付き燃料の消費も増え続けた。結果、補助金はふくれた。石油マフィアが背後で関係している」。エミル氏はスハルトの経済参謀「バークレーマフィア」の1人。スハルト時代からの政府の経済運営に精通する。
 討論会では、ファイサル・バスリ・インドネシア大教授(経済学)も歩調を合わせた。「彼がマフィアでなければ誰がマフィアなのか。マフィアは『インドネシアの石油を輸入』している」

■石油輸入を支配
 さらにSKKミガス幹部のフェルディナンド・フタハエアン氏はテンポグループに対し「(ユドヨノ政権で)ハッタ氏は石油の調達を支配した。国営石油ガス・プルタミナと小会社ペトラルによる原油輸入はすべて、ハッタ氏が行った」「ハッタ氏は石油精製施設を整備する動きを押さえつけた。石油の国内生産量も落ち、そのため石油の輸入量が増大した」と話した。
 元BPミガス調査担当取締役シャラフィ・ヒダヤット氏は7月5日「ハッタ氏と(アラブ系インドネシア人の)ムハンマド・リザ・ハリッド氏こそ石油マフィアのチャンピオン」としてジャカルタでデモ。2者を法で裁くよう、ハッタ氏の後任のハイルル経済調整相に要求した。ハッタ氏がリザ氏の息子の結婚式で立ち会い人を務めたとされる写真がメディアにもれた。
 これに対し、ハッタ氏は週刊誌テンポのインタビューで疑惑を否定している。

■中傷タブロイドの資金源
 さらに先立つ6月30日、ジョコウィ陣営の日刊紙メディアインドネシア紙は、プラボウォ陣営関係者を情報源として、ジョコウィ氏を「華人、非ムスリム、華人政商の操り人形」と誹謗(ひぼう)中傷したタブロイド「オボールラクヤット」の資金源がリザ氏と報じた。リザ氏はプラボウォ陣営に数百億ルピアを寄付したともいう。(つづく)(吉田拓史、写真も)

7月8日、大統領選投票日前日、ホテルインドネシアロータリーの歩道橋に「石油マフィア」を糾弾する広告がつるされた
7月8日、大統領選投票日前日、ホテルインドネシアロータリーの歩道橋に「石油マフィア」を糾弾する広告がつるされた

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