改革か復古か、国民の審判 きょう投票、夕には大勢判明

 9日、5年に1度の総選挙投開票日を迎える。10年にわたるユドヨノ政権末期に広がった失望を踏まえ、選挙戦では「変革」がキーワードになった。民主的な改革路線か、それともスハルト時代の復古か、有権者1億8千万人はどちらの「変革」を選ぶのか。  
には開票速報で大勢が判明する。この結果をみて、政党は大統領選をにらんだ合従連衡を始め、7月9日大統領選投開票日までの長い戦いに入る。
 選挙戦ではジョコウィ・ジャカルタ特別州知事を大統領候補に担ぐ闘争民主党(PDIP)が第1党の勢い。イスラム政党との小さな連合を模索すると伝えられる。プラボウォ元陸軍特殊部隊司令官を担ぐグリンドラ党も開発統一党(PPP)、民主党との連携を模索していると伝えられる。世論調査ではPDIP、ゴルカル党、グリンドラ党が3強になる勢いで、09年の勝者民主党、ゴルカル党、福祉正義党(PKS)の与党主要3党は次々に汚職を摘発されて、ゴルカル党を除いた2党は衰退を余儀なくされそうだ。
 だが、すべては結果次第。PDIPの得票率がカギだ。

■民主化16年の岐路
 民主化16年目を迎えた今回の選挙は、インドネシアの進路を再び問い直すことになる。地方分権化で裁量権が拡大した地方自治体の多くでガバナンスが危機的になり、汚職がはびこる政府の政策実行力には疑問符が付いたままだ。
 ゴルカル党の変革はスハルト体制の復古。強権的な中央集権体制が繁栄を呼ぶとの立場だ。バクリー党首は「スハルト時代から購買力が2倍になったが、物価は5倍になった」と民主化時代を批判する。だが、スハルト大統領の親族、取り巻きだけが利権を独占した時代には、大統領一家の不正蓄財は150億〜350億ドル(国連機関調べ)に上り、「取り巻き資本主義」の非効率性に対する批判も根強かった。
 民主化時代のすべての政権がスハルト時代の宿痾(しゅくあ)である「汚職、癒着、縁故主義(KKN)」払拭を叫んだが、失敗した。改革派のユドヨノ氏が率いる民主党は余りにも多くの汚職疑惑を抱え、党の枢要を親族で固める縁故主義に陥り支持率を下げた。政治改革は今もなお古くて新しい最重要課題である。
 しかも、選挙中には国家・地方予算が選挙に流用された疑惑が浮上。村落への交付金配分を約束する法律や、国民健康保険、生活扶助・低所得者層奨学金・コメ支給を自党の手柄として利用する例も多かった。選挙用のバラマキとみられても仕方が無い。次の与党・大統領には政策を政治利用する慣行を改め、公正な政治を実現する責任がある。インドネシア国民の選択のときだ。(吉田拓史)

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