どう進むASEAN統合 (2013年10月21日)

Share (facebook)
このエントリーをはてなブックマークに追加 LINEで送る

 ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会合が9、10の両日、ブルネイで開かれた。15年のASEAN共同体(AEC)創設を控え、広範な分野での協力で一致したが、米国の関与と中国との関係、経済連携での難航、依然縮まらない域内格差などさまざまな面での課題も浮き彫りになった。

■ 米、アジア重視の度合いは オバマ不在、強まる中国

 ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会合はバリで行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の直後の9〜10日、ブルネイで開かれた。オバマ大統領が一連の会合を欠席したことで、中国が存在感を増したとの見方もある。中国がASEANの取り込みを図る中、米国がどれだけアジアへリバランス(軍事力の再均衡)するのか、その「度合い」に注目が集まる。
 2010年7月。ヒラリー・クリントン国務長官(当時)はASEAN外交フォーラムで「南シナ海の航行の自由は米国の国益」と中国をけん制、米国のアジアへの関与を印象付けた。米国を引き込みを主導したのは、南シナ海問題で中国と鋭く対立するベトナム。かつての米国の交戦国だ。
 翌11年にヒラリー国務長官が発表した論文が「アジア回帰」を決定的にした。「米国の太平洋世紀(America's Pacific Century)」との題名で、アジアを最重視し、アジア全域にわたる戦略を加速させると表明する内容だった。
 ASEAN地域では、09年ごろから南シナ海問題が先鋭化。海洋進出を活発化させる中国に対し、ASEANが多国間での法的枠組みによる解決を求める構図だった。ここで米国がASEANを支え、中国とASEANを均衡させることを目指したとみられている。
 だが、12年のASEAN首脳会合では、親中の議長国カンボジアと南シナ海問題で中国と対峙するベトナム、フィリピンとの溝が埋まらず、共同声明を採択できないという異例の事態に追い込まれた。中国への対応をめぐりASEANが割れてしまうことが危ぶまれた。さらに今年のASEAN関連会合にも、オバマ大統領の姿はなかった。国内の政府機関閉鎖問題への対応に追われたからだ。 
 オバマ氏不在で、中国の存在感が増したと指摘する声は大きい。中国は同時期、ASEAN外交を活発化。習近平国家主席はインドネシア、マレーシアを個別に訪問してAPEC入り。李首相はASEAN関連首脳会議出席後、タイ、ベトナムを訪問。加盟国と個別に協調関係を構築しようとする狙いが伺える。
 しかも、クリントン氏が今年2月に退任。後任のジョン・ケリー氏は内戦が続くシリア問題や中東和平交渉再開などに注力してきた。ケリー国務長官は18日、米紙ロサンゼルスタイムスに寄稿した論文で「太平洋の勢力として、米国が太平洋の未来を築き続けなければいけないと、以前よりも確信を深めている」とし、アジアへのリバランスをじっくりと進めていく方針を強調。政策変更したとの懸念を払底しようとしている。(吉田拓史)


このカテゴリの最新記事

本日のニュース一覧